セネガルの子供たちに愛のボール贈る…元金融マン・銅冶勇人さん、W杯での対戦心待ち

スポーツ報知
3月、ガーナに建設した小学校で子供たちに制服を手渡す銅冶勇人さん(本人提供)

 サッカーW杯の日本対セネガル戦を心待ちにしている人がいる。アフリカ製の服飾雑貨を国内で展開する銅冶(どうや)勇人さん(32)。Jリーグ・横浜マリノスの中町公祐選手(32)とケニアやセネガルなどのアフリカ各国にサッカーボールを贈る活動を続けている。

 中町選手とは慶大の同級生。数年前からマリノスが試合に勝つたびに、ボールを現地に贈り続け、その数は500個以上になった。「向こうでサッカーは人気がありますが、子供たちがボールを買うことは難しい。ゴミを丸め、漁網で覆って遊んでいますから」

 学生時代はアメフトに没頭したが、卒業旅行で訪れたケニアで「200世帯に1つしかトイレがない」現状を目の当たりにし、「いつかここで何かをしたい」との思いを深めた。卒業後は、米大手証券会社「ゴールドマン・サックス」に勤務。「胃潰瘍になるほど」働きながら、アフリカ支援のNPO法人を設立した。 

 約6年半勤務した同社を退社すると、アパレルブランド「CLOUDY」を始め、ケニアなどに縫製工場を建てた。現地で雇用を作り、女性向け服飾ブランド「サマンサタバサ」とも協力し、小学校3校を建設した。

 今回のサッカーW杯でもアフリカの代表国が自然と目に入るという銅冶さん。日本代表は24日にセネガルと対戦するが、「国際大会はほかの国を知るきっかけになりますから。W杯を通じ、アフリカ各国への関心が高まれば、うれしいですね」と目を細めた。

 ◆02年キャンプ地・藤枝市の中村さん、両方突破して

 日韓共催の2002年に行われたW杯で、セネガルのキャンプ地となった静岡県藤枝市の中村藤一さん(85)は「日本とセネガルの両方が予選を突破してくれればいいんだけど…」と複雑な心境をのぞかせた。当時、ボランティア団体の「花の会」で会計をしていた中村さんは、同市に滞在したセネガルチーム関係者などと交流。「背が高いにもかかわらず、すばしっこいのに驚いた」と振り返った。同市は日本代表の主将を務めるMF長谷部誠(34)の故郷。「直接対決となったら、応援するのは日本。長谷部選手は藤枝の宝だしね」と話していた。

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