【本屋さんのイチ押し】良文堂書店松戸店・高坂浩一さん「騙し絵の牙」

2017年9月9日11時55分  スポーツ報知
  • 「騙し絵の牙」(塩田武士著)

 ◆「騙し絵の牙」(塩田武士著、KADOKAWA、1728円)

 グリコ・森永事件をモチーフにした前作『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞した塩田武士さんの最新刊です。大手出版社のカルチャー誌「トリニティ」の編集長を務める速水はある夜、上司から廃刊をにおわされる。何とか「トリニティ」を存続させるために奔走する速水は徐々に社内の派閥抗争に巻き込まれていく。

 主人公の速水は表紙になっている大泉洋さんを当て書きしたそうで、軽妙で機知に富んだ会話、コミカルな振る舞いからシリアスなシーンまで、行間から大泉洋さんの映像が浮かんでくるようでした。

 また、俳優を当て書きというと軽い作品に思われるかもしれませんが、業界の片隅に身を置く身として息苦しくなるぐらい生々しい出版業界の厳しい現状を描いた社会派作品となっています。そして、読み終えた時、深い余韻とともにタイトルの意味を理解することになる見事な作品になっています。

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