【メディカルNOW】黄熱病、ブラジル渡航前には予防ワクチンを

2016年5月16日15時0分  スポーツ報知

 中南米で蚊が媒介する感染症はジカ熱だけではない。千円札の肖像になっている野口英世(1876~1928年)が研究し、自ら感染して命を落とした黄熱病に感染する危険もあるのだ。

 ネッタイシマカが黄熱病に感染している人を刺すと黄熱ウイルス保有蚊になり、その蚊に刺されると黄熱病に感染する。潜伏期間は3~6日で、突然の発熱、頭痛、背中の痛み、おう吐で発症する。発症後3~4日で症状が軽くなる。そのまま回復することもあるが、数時間か2日後に再び発熱し、鼻や歯ぐきからの出血、おう吐(黒い吐しゃ物)、下血、黄疸(おうだん)など重症化することがある。黄疸は皮膚や目の白味が黄色くなることから黄熱病と名付けられた。黄熱病の死亡率は30~50%と高い。

 この夏、リオデジャネイロ五輪観戦でブラジルに行く人も多いだろう。幸いリオデジャネイロだけなら黄熱病に感染する危険はないが、人気観光地のイグアスの滝、マナウス、ブラジリア、ベロオリゾンテは、世界保健機関(WHO)による黄熱ワクチン推奨地になっている。

 黄熱病に特効薬はないが、黄熱ワクチンで予防できる。1回の接種で接種後10日目から10年間有効。黄熱ワクチンは黄熱予防接種証明書(イエローカード)を発行するため各検疫所や検疫衛生協会でしか接種できないので、旅行代理店などに問い合わせること。

 一方、ジカ熱は予防ワクチンがないから、蚊に刺されないことが唯一の予防になる。暑い地域であれば昼間は長袖、長ズボンではつらいから、虫よけ剤に頼るしかない。有効なのが「ディート」という成分を含む虫よけ剤だ。ディートは第2次世界大戦中のジャングル戦の経験に基づきアメリカ陸軍が開発したもので、比較的安価であるため世界中で使用されている。日本では、「虫よけムシペールソ」(池田模範堂)、「スキンベープミスト」(フマキラー)、「サラテクト無香料」(アース製薬)、「スキンガード」(ジョンソン)などが販売されている。(医療ジャーナリスト・田中皓)

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