【メディカルNOW】「窃盗症」やめたくてもやめられない万引き

2017年3月13日15時0分  スポーツ報知

 万引きが社会問題になっている。警察庁や小売業団体などが参加する「万引き防止官民合同会議」の推計によると、2009年の万引きによる被害額は4615億円に上ると推計した。小売事業所の売り上げの0・47%を占める計算だ。

 万引き犯の中には、経済的利益を得るためではなく、快楽のために万引きを繰り返す者がいる。万引きの実行時に緊張感を味わい、成功時に解放感や満足感を得るからだ。これを窃盗症(クレプトマニア)といい、精神障害の一種とされる。欲しくもない物を万引きする、盗んだ物を捨てたり他人にくれてやる、中には万引きした物を現場に返却することもある。いわば万引きのための万引きだ。

 米国精神医学会による窃盗症の診断基準(DSM―4―TR)は次の5項目に該当することだ。▼個人的に用いるのでもなく金銭的な利益のためでもなく、物を盗もうとする衝動に抵抗できない▼盗む直前に緊張感が高まる▼盗むときに快感・満足・解放感がある▼怒りや報復、妄想や幻覚で盗むのではない▼盗みは行為障害・躁(そう)病・反社会性人格障害では説明できない。

 衝動的に万引きをしないためにバッグなどを持たず財布だけを持って店に行く人もいる。しかし、多くの窃盗症患者は万引きをやめたくてもやめられない。そのため捕まって留置場に入ると「これでもう万引きをせずにすむ」とホッとしたりする。しかし、出所すれば再び万引きを繰り返す。

 窃盗症は男性よりも女性がなりやすく拒食症や摂食障害を抱えている人が多いとされる。ストレスで摂食障害になり、そのストレスを解消するために万引きで快感を得ようとするのだ。

 窃盗症は病気なので専門の医療機関で治療すれば治る。受診は精神科や心療内科になるが、窃盗症の認知度が低く、適切な診療が受けられないことが少なくない。その場合は各都道府県の精神保健福祉センターに相談して、窃盗症の治療に定評のある医療機関を紹介してもらうといい。(医療ジャーナリスト・田中 皓)

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