【佐藤優コラム】北の暴発阻止せねば

2017年11月26日12時0分  スポーツ報知
  • 金正恩・朝鮮労働党委員長(ロイター)

 20日、米国が北朝鮮をテロ支援国家に再指定した。これに対して北朝鮮が激しく反発している。<北朝鮮外務省報道官は22日、米政府によるテロ支援国家の再指定について「我が国に対する重大な挑発だ」と非難した。/朝鮮中央通信が報じた。トランプ米大統領が20日に再指定を発表した後、北朝鮮の反応は初めて。具体的な対抗措置などには言及していない。/報道官は「米国の敵視政策が続く限り、我々の抑止力は一層強化されるだろう」と述べ、核兵器開発を続ける方針を改めて示した。>(22日、YOMIURI ONLINE)

 外務省元幹部によると外務省が米国とともに朝鮮戦争のシミュレーションをした結果は次の通りだ。「北朝鮮が韓国を奇襲攻撃した場合、ソウルは2日で陥落し、約35万人の死者が発生する。その後、2か月で米軍が北朝鮮全土を制圧するが、北朝鮮の死者は韓国の数倍になる」。常識的に考えれば、100万人以上の死者が想定される米朝戦争が勃発する可能性はない。しかし、歴史においてはしばしば非常識な出来事が起きる。北朝鮮にとって重要なのは金正恩一族によって代表される国家体制の基本原理を護持することだ。今後、米国が金正恩・朝鮮労働党委員長とその一族の資産を凍結し、この一族との経済活動を行った政府や企業に対する制裁を行うという方針を示すと、北朝鮮が暴発する可能性がある。

 北朝鮮政府が運営するポータルサイト「ネナラ」(朝鮮語で「わが国」の意味)は、11月21日付で朝鮮中央通信を引用し、<いったん、朝鮮半島で戦争が起これば日本も絶対に無事ではない。/日本にある米国の侵略基地と共に戦争に動員される日本の全てのものがこっぱみじんになりかねない。/日本が軍国主義の馬車に乗って暴走するほど、自滅のどん底にいっそう深く陥る結果しか得られない>と報じた。

 第2次朝鮮戦争が勃発すれば、米国を中核とする朝鮮国連軍に全面的協力を行うことを約束した地位協定を締結している日本も北朝鮮の弾道ミサイルと工作員によるゲリラ戦で、少なく見積もっても数千人の死者が発生するであろう。戦争を阻止するために全力を尽くさねばならない。(作家、元外務省主任分析官)

社会コラム
  • 1
  • 2
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ