【有森裕子コラム】日大問題解決なければ「スポーツで健全な社会」もない

2018年6月4日12時0分  スポーツ報知
  • 一連の騒動を謝罪する日大・内田前監督(5月19日)

 日大アメフト部の悪質タックル問題は、関与した前監督、コーチを関東学生連盟が“永久追放”の除名処分とすることが決定。さらに、前監督は大学の常務理事を辞任しました。

 今回の問題は、チームスポーツだからこそ起きてしまった部分があると思います。特定の選手が出場しなくても試合は成立するので「代用」が利く。そうなると、決定権を持つ人(監督)に対し、選手が「外されたくない」と意見を言いにくくなるでしょう。「言いたいことがあれば主張すべき」というのは正論ですが、奇麗事は通用しにくいと思います。

 また「潰してこい」という指示がどんなシチュエーションで言われたものなのか。フルコンタクトのスポーツなら、チーム全員が集まってハッパをかける時に、そのような言葉が使われるかもしれませんが、実際に「相手にけがをさせよう」と思う選手はいないと思います。でも、今回は1人だけがコーチに呼ばれ、再三にわたって「潰してこい」と指示を出されている。監督側が「けがをさせる意味合いではなかった」と言っても、コミュニケーションの上で正しい言葉とは程遠いものだったと思います。

 この問題は1か月近く報じられていることで「もう飽きた」と思っている人もいるでしょう。確かに「会見の司会がヒドかった」などということは、これ以上掘り下げる必要はないと思います。ただ、監督、コーチは処分されましたが、それで全てが終わりという問題ではありません。私も含め、特にスポーツに携わる人たちは真摯(しんし)に受け取り、他のスポーツの現場でも起こり得る問題として考えなければいけません。

 「事実は何だったのか」「なぜそれは起きてしまったのか」。部分的な処分は決まったとしても、この点をきちんとしない限り、2020年の東京五輪・パラリンピックで「スポーツで健全な社会を」とはいえないのではないでしょうか。(女子マラソン五輪メダリスト)

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