【大学選手権】天理大の田中、亡き母に勝利ささげられず「お母さんのためにも勝ちたかった」

スポーツ報知
個性的なフォームで1年生から4番を打ち続ける天理大の田中秀政

 ◆報知新聞社後援 第67回全日本大学選手権第1日 ▽1回戦 大商大10―0天理大=5回コールド=(11日・東京ドーム)

 亡き母に勝利をささげることができなかった。天理大の4番・田中秀政(4年・明徳義塾)は中飛と遊ゴロで2打数無安打に終わった。チームも10安打で10失点し、内野安打1本と手も足も出なかった。「完敗。やっぱり自分たちの野球ができていなかった。エラーが続いたりしていた。試合前に相手投手の研究はしていたが、低めの変化球で振らされていたのが敗因だったと思います」と悔し顔で試合を振り返った。

 田中は2月14日のバレンタインデーに母・さゆりさんを56歳の若さで亡くした。「病気のことを言ったら心配するから、野球に集中させてあげて」という母の思いから、闘病していたことは田中に知らされていなかった。昨年の全日本大学野球選手権の1回戦が、母が観戦した最後の試合だった。「次は絶対に優勝するから」という願いはかなわず、今年は同じ東京Dで2年連続の勝利を贈ることができなかった。

 「お母さんにいい報告はできなかったけど、自分は(野球を)まだやるので、力をつけて秋に頑張っていけたら。お母さんのためにも勝ちたかった」と自分に言い聞かせた。悔しさをバネに、今秋の明治神宮大会で勝利の花束を母にささぐ。

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