東洋大・梅津晃大、目立たなく帽子の裏に書いた5つの言葉…学生記者が見たドラフト候補

スポーツ報知
チームメイトからの信頼も厚い梅津

 プロ野球のドラフト会議が25日、都内で開かれる。スポーツ報知では東洋大学スポーツ新聞編集部(スポトウ)の協力を得て、1位指名が有力視される同大学の梅津晃大、上茶谷(かみちゃたに)大河、甲斐野(かいの)央の3投手を紹介する。1年中、密着取材する担当記者が、それぞれの選手を徹底分析。第1回はMAX153キロ右腕・梅津晃大(4年・仙台育英)。

 * * * *

 18日に行われた(東都大学野球)秋季リーグの国学大戦で、大学4年目にして悲願の初勝利を手にした梅津。しかし、この勝利までの道のりは苦難の連続だった。

 大学に入ってから思うような投球をできず、3年の10月、ようやく先発の機会を得た。しかし、試合前から万全ではなかったという右足が肉離れを起こし途中降板。今年の春季リーグ戦では、2戦目に登板し、存在感を見せつけたが、その後の練習試合で打球が左足に直撃。そのまま、春季リーグ戦での登板はなかった。

 度重なる試練を乗り越え、迎えたラストシーズン。2戦目から先発で登板すると、その後も最少失点に抑える好投を続けたが、勝利だけが遠かった。「公式戦未勝利のドラフト1位候補」になるのかという状況の中、今季6回目の登板で見事に初勝利をつかんだ。念願の初白星に「めちゃくちゃ長かったけど、野球をやっていてよかったです」と笑顔を見せた。

 「ウイニングボールはお母さんにあげたい」と家族思いの一面も見せた右腕の魅力の一つは真面目な性格だ。中川主将(4年・PL学園)から副将に任命されるなど、チームメートからの信頼も厚い。4年間、ともに切磋琢磨(せっさたくま)してきた同じくドラ1候補右腕の上茶谷(4年・京都学園)は「お父さんみたいな存在」と言う。日頃、練習や試合の中で、気づいたことや感じたことを野球ノートとして記録しているという梅津。堅苦しく書くのが苦手と、いつでも書きたいときに気軽に書けるスマートフォンのメモを利用してノートをつけることにした。

 良いときも悪いときも後から分かりやすいように、説明するような形で書いているというそのメモ帳にはぎっしり文字が書かれている。食事面でも「学生なのでできることは限られてくるが、知識はなるべくたくさん集めたい」と、調理師免許取った友達に自ら連絡して、食事面の情報収集をするなど体調管理を徹底。この真面目さこそが、さまざまな試練の中で梅津を成長させてきた。

 帽子の裏には「上から目線・いいイメージ・深呼吸をしてみる・失敗する勇気・力を抜いてみる」の5つの言葉が書いてある。人に見られると恥ずかしいので目立たないように書いたというその言葉からは、彼のまっすぐな思いが伝わってくる。

 「スケールの大きい選手になってほしい」。高橋前監督の期待の言葉の通り、187センチの長身から投げ込むストレートを武器に、さらなる躍進を続ける。(東洋スポーツ・松本 菜光花)

 ◆梅津 晃大(うめつ・こうだい)1996年10月24日生まれ、宮城県出身。南小泉小、秀光中、仙台育英高を経て東洋大。今秋リーグ戦まで未勝利ながら、最速150キロを超える直球を武器に注目を集めてきた。身長187センチ、体重92キロ。右投げ右打ち。家族は両親と兄、妹。

野球

×