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元甲子園準V投手の決断 サイドスローを選んだオリックス・佐藤世那の今

2018年2月6日18時24分  スポーツ報知
  • ブルペンで投球練習をする佐藤世
  • 仙台育英時代の佐藤世那

 2月1日。宮崎・清武総合公園で行われたオリックスのキャンプ初日、午前のブルペンは熱を帯びた。主力や即戦力ルーキーが次々に投げ、首脳陣、報道陣、ファンが視線を注いだ。それから1時間後。人目もまばらなブルペンで一人、黙々と投げ込む佐藤世那投手(20)の姿があった。フォームは、大きく踏み込み、重心を低くしてリリースするサイドスロー。投球を終えると、コーチのアドバイスに熱心に耳を傾けていた。

 「アンダーというわけではないですよ。もちろん(リリースは)低くはしたいですけど」。投球を終えた佐藤世は、そう現時点でのフォームについて話した。今年からオリックスを取材する記者も、昨年末のサイド転向の一報に触れてから、じかに見るのは初めてだった。アンダースロー挑戦もささやかれていたが、突き詰めるのはサイドスローだと言う。

 佐藤世那といえば、15年夏の甲子園で仙台育英(宮城)のエースとして、決勝で東海大相模・小笠原慎之介投手(現中日)と投げ合ったことが記憶に新しい。テイクバックの大きいダイナミックなフォームから力強い直球と鋭いフォークを繰り出すスタイルで、同年のドラフトでオリックスに6位指名を受け入団。しかし制球難もあり、2年間で1軍戦登板はなし。昨オフにサイド転向を決断した。

 甲子園決勝のマウンドに立ち、プロ入りも果たしたスタイルを大きく変えた。そこに葛藤はなかったのか―。

 「僕も、特長があると思ってこの世界に入って来た。でも、やっぱりまわりを見たら個性的ですごい人ばっかり。なので、そっち(従来のフォーム)で勝負するんじゃなくてこっちで、と思って。悩みましたが、そう決めました」

 決めたからには迷いを断ち切った。それでも習得には苦心する。重心を低めに落としたフォームのため、下半身への負担はオーバースローよりも大きい。

 「自分も今まで投球がつらくなかったんですよ。どっちかというと投げるのが好きだということがあったので。でも、やっぱり変えてから、体の負担がすごいですね」

 現時点で、克服すべき課題は、決して少なくない。想像以上に険しい道かもしれない。それでも、サイド転向には思いがある。「やっぱり一人で考えたときは、不安もありました。でも…」と続け、晴れやかな表情で話した。「色んな意味で楽しみなんです。自分がどうなるかが」。選んだ道を正解にしようと、20歳は奮闘を続けている。(記者コラム・原島 海)

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