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40打席連続無安打、盗塁ゼロ…“元祖・育成の星”岡田、昨季の「屈辱」胸に再び輝く

2018年4月9日16時0分  スポーツ報知
  • 3月6日の巨人とのオープン戦、5回2死一、三塁、一塁走者・岡田(66)が二盗を決める

 読み勝ちだった。8日の日本ハム戦(東京D)の延長11回1死一、二塁。カウント2ストライク1ボール。岡田幸文外野手(33)は二塁から一気に三塁を狙った。サインはなし。「自分のタイミングで行けたら行く」グリーンライトだった。相手バッテリーの配球の傾向や、けん制が来ないことを察知し、タイミングよくスタート。ダブルスチールを決め、今季初盗塁をマークした。

 ベテランは期待されている「足」で揺さぶりをかけ続けた。最後は田村の中前適時打で決勝のホームを踏んで笑顔。5―2での勝利後、井口監督は「いい攻めができた。いいタイミングで常に隙を狙っていいと言っているので」と岡田の働きを称賛した。

 昨季は開幕スタメンをつかみ、リードオフマンに抜てきされたが、極度の不振に陥った。「1番で使ってもらって『結果を出さなきゃいけない、出さなきゃいけない』って考え過ぎた」。重圧がのし掛かり、体が思うように動かなくなった。バットから快音が聞かれないまま、連続無安打は40打席を数えた。盗塁数はゼロ。2ケタ盗塁も7年連続でストップした。7月に2軍行きが通達され、1軍に戻ることなく2軍でシーズンを終えた。

 岡田は08年育成ドラフト6位で入団。ロッテ版の“元祖・育成の星”として11年には144試合に出場し、ゴールデン・グラブ賞も獲得した。以降は1軍の最前線で活躍していたため、新人だった09年以来の2軍生活だったが、若手と一緒に泥まみれになりながら白球を追ったことで、得られた収穫もあった。

 「後輩たちと話したり、練習をしたことで、僕も昔の自分を思い出しましたよ」

 育成選手として支配下登録と1軍昇格を目指していた頃の「がむしゃら」だった自分を思い起こすことができた。

 今季は球団21年ぶりとなった開幕スタメンをつかんだドラフト2位・藤岡裕、同4位・菅野のコンビがチームをもり立てている。一方で、岡田は代走や守備固めでの出場が主だ。今年で34歳を迎えるが、バキバキに割れた腹筋や鍛え抜かれたふくらはぎを見る限り、まだまだ老け込む年ではないと感じる。井口監督はレギュラーを固定する方針で、今後も故障者が出た時など不測の事態に備えることになる。それでも岡田のワンプレーで試合の流れを引き寄せる守備力、相手にとっての嫌らしい走力はチームに欠かせないことは明らかだ。

 開幕前、岡田は言った。

 「今年に限らず、毎年ですけど若手が入って来て今まで以上にやらないといけないという思いは強い。去年の経験を無駄にしたくないです」

 昨年味わった「屈辱」と育成時代を思い起こし得られた「ハングリーさ」を原動力に、背番号66はグラウンドを駆け巡る。(記者コラム・長井 毅)

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