•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

“もってるドラ2ルーキー”阪神・高橋遥を支えるサンボマスターの名曲

2018年6月6日16時0分  スポーツ報知
  • “もってるドラ2ルーキー”阪神・高橋遥

 軽快なロックが甲子園球場に響きわたる。「高橋遥人」がコールされると、少し体を丸めながら、虎党の大歓声を受けて、小走りで先発マウンドに向かっていく。

 4月11日の広島戦で7回無失点。村山実以来59年ぶりとなる、甲子園での“初登板・初先発・初勝利”。もってるドラフト2位ルーキー、高橋遥人投手(22)=亜大=。今季の入場曲に、パンクロックバンド・サンボマスターが歌う「できっこないをやらなくちゃ」を選んだ。テレビCMでもよく流れたあの曲。ロックフェスでもテンションMAXのハイな1曲は、高橋遥が投げる剛球のような、ド直球の歌詞で人の心をつかんできた。

 「キャンプ前に、『これ、いいんじゃない』と(ドラフト5位の)谷川さんから登場曲に薦められて。それまであまり知らなかったんですけど、よく聞いたら歌詞とかめちゃくちゃ良くて。今の自分に合ってるなと思って。キャンプ中はお風呂とかで聞いてました」と熱弁してくれた。

 金本監督から「あれは打てない」と、1月の自主トレから絶賛された左腕。それでも、左肩の状態を整えながら、2軍安芸キャンプでじっくりプロ仕様の体を作り上げた。学生生活から一変し、プロの世界へ。慣れない環境に戸惑いはあったが、サンボのリズムが、22歳の青年を勇気づけた。

 同22日の巨人戦(甲子園)では7失点で初黒星。5月4日の中日戦(甲子園)は6回1失点で好投したが、チームは負けてしまった。1か月以上、勝利から遠ざかっていた同18日の中日戦(ナゴヤD)は初のビジターゲーム。球場へ向かうバスの中で、高橋遥はこの曲を聞いて気分を高めた。3試合ぶりの勝利となる2勝目を挙げ、あどけない笑顔を見せた。

 高橋遥と音楽は、不思議な縁でつながっている。日本一厳しいと言われる亜大の練習をともに乗り越えた同級生に、現在プロの歌手として活躍する小山翔吾さんがいる。頻繁に連絡を取り合う仲で、高橋遥の依頼に応え、オリジナルの登場曲の作成に取りかかっている。「できっこない―」が聞けなくなるのは少しさみしいが、それ以上に、まもなく披露される新曲が楽しみでもある。

 5月30日のソフトバンク戦(甲子園)は2被弾、5回6失点でKOされ、悔しい2敗目を喫した。

「諦めないでどんなときも、君ならできるんだ どんなことも」。

 音楽が持つ力強いメッセージとともに、勝利に向かい堂々と歩み続ける。(記者コラム 阪神担当・長尾隆広)

コラム
今日のスポーツ報知(東京版)