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香田監督は転んでもただでは起きない…西部ガス全国初白星逃すも敗戦こそ日本一への第一歩

2018年7月17日16時0分  スポーツ報知
  • 都市対抗野球で初采配を振った西部ガスの香田監督

 東京ドームの喫煙所。ため息混じりの煙を吐き出した社会人野球・西部ガスの香田誉士史監督(47)は「毎年ここで悔しいたばこを吸ってるなあ…」と天を仰いだ。04、05年夏の甲子園を連覇した駒大苫小牧の元監督は、昨年11月に西部ガスのコーチから昇格。監督として初めての都市対抗野球に挑んだが、07年夏の甲子園以来11年ぶりに全国の舞台で采配を振った16日の1回戦は、新日鉄住金かずさマジックに4―6で逆転負けを喫した。西部ガスは4年連続4度目の出場で、またしても全国初勝利を逃した。だが、香田監督にとって敗戦は、何よりもパワーの源となる。

 今季は、セガサミーに0―14で大敗した初戦からオープン戦6連敗スタート。3月9日の6戦目の相手は、左腕・宮台康平が日本ハム入りした後の東大だった。この屈辱をバネに、3月20日の7戦目でJR九州から“初勝利”を挙げると、私が4月下旬に高校野球の春季九州大会を取材した帰り、現在発売中の書籍「私の高校野球」の打ち合わせで西部ガス練習場を訪れた時点では公式戦含め6連勝中だった。5月下旬の都市対抗九州地区2次予選でも、初戦でJR九州に敗れた。いきなり崖っぷちに追い込まれながら、破竹の5連勝で第2代表の座をつかみ取った。

 駒大苫小牧監督時代から、そうだった。就任して6年間、道内敗退を力に換えて進化を続け、01年夏に甲子園初出場。次は甲子園3連敗によって全国で勝てるチームを追求し、4度目の出場となった04年夏、初勝利から一気に頂点へ駆け上がり北海道に初めて優勝旗をもたらした。そこから06年決勝再試合で早実に敗れるまで夏の甲子園14連勝した。書籍「私の高校野球」に再録した高校野球専門誌「報知高校野球」05年1月号掲載の手記によると、高校受験でも佐賀商の推薦入試は不合格だった。だが、一般入試で佐賀商を受け直して合格。2年夏から3季連続出場を果たした甲子園で本塁打も放っている。生まれつき、転んでもただでは起きない男だ。

 敗戦は、香田監督のパイオニア精神も奮い立たせる。04年夏の甲子園初優勝インタビューで「道産子がやりました!」と絶叫した。北海道でも全国制覇できると信じて目指し、北海道・東北勢で誰も手にしていなかった大旗をつかんだ。現在、選手としては経験のない社会人野球の監督に抜てきされた。これは極めて異例だが、先駆者となるべくチャレンジしていく。「今までも負けて“なにくそ”の思いでやってきた。必ずいつかやってやるぞ、の気持ちで頑張ります」。この日の敗戦は、日本一への第一歩に違いない。(記者コラム・「報知高校野球」編集長・日比野哲哉)

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