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21年ぶり現場復帰の宮本和知さん、追い求めていたもう一つの“夢”

2018年10月28日12時0分  スポーツ報知
  • 「ナックル姫」ことエイジェック女子硬式野球部の吉田えり兼任監督(左)を取材、ナックルポーズをする宮本和知さん

 「ズームイン!!サタデー」(日テレ系、土曜・前5時半)でおなじみの元巨人・宮本和知さん(54)が、来季から1軍投手総合コーチとして現場復帰することになった。

 97年に現役引退し、選手の生の声を伝え親しまれた“第二の人生”は、偶然にも当時の背番号と同じ年月。「21年だよ。プロ13年で。(長かった)」と本人も久しぶりのユニホーム生活にやる気満々だ。今は「ズムサタ」の年内卒業を27日の放送で発表したように、新生活に切り替える準備に追われている。そんな中、しばらくお休みすることになる宮本さんの“夢”があるのをご存じだろうか。

 8月中旬。宮本さんは観客百数十人の埼玉・加須市民球場にいた。プライベートで「第9回全国女子硬式野球ユース大会決勝」を観戦。主催者にあいさつを求められると、「たたみかける攻撃の集中力。連打連打でレベルの高いバッティング。さすが神戸弘陵」と優勝チームを具体的に講評した。ある週末は「ズムサタ」終わりに羽田空港へ直行、高知で行われていた侍ジャパン女子代表「マドンナジャパン」合宿に駆けつけるなど、女子野球の多くの現場で、その姿を見ることができた。

 「彼女らはいつか、お母さんになる。野球のできるお母さんは、子供にとって一番の応援者になる」と力説する宮本さん。女子野球に携わるようになったきっかけは、自身が総監督をつとめる神奈川の少年野球チーム「葉山巨人軍」に有望な少女がいたからだ。その選手は昨年の第1回BFA女子野球アジア杯(香港)にU18マドンナジャパンの一員として出場。宮本さんにとって初の、侍ジャパン入りした“出世頭”の弟子に成長した。

 「ほとんどの女の子は、お兄ちゃんの練習に付き合わされて連れてこられ始めた妹。ほかの遊びもしたかったのにできなかった彼女らを応援したい」。女子野球人口は約2万人(うち硬式は2000人)まで増え、マドンナジャパンはW杯6連覇と世界最強だが、それでも野球を続ける環境は十分とはいえない。中学、高校、大学、そして大学卒業後と、野球をあきらめざるを得ない“壁”が男性以上に高い。

 宮本さんは今年、月刊ジャイアンツ(報知新聞社発行)の企画で全国の女子野球選手を取材する中で、NPB12球団が女子野球チームを持つ夢を力説してきた。サプリメント販売の「わかさ生活」が中心となった日本女子プロ野球リーグが10年から行われているが、もっと知名度をあげるには、NPB球団の協力が不可欠だという。「2軍戦の前後でもいい、試合前練習の球拾いでもいい。同じユニホームを着た彼女らが出てきたらみんな気になるでしょう?。トップ選手は年俸1000万くらいもらって、少女たちのあこがれの存在にならないと…」市民権を得るための壮大な夢を語っていた。

 一部では流れができ始めていた。4月に女子硬式野球部を創部した「クラーク記念国際高仙台キャンパス」には、楽天がアカデミーのコーチを派遣するなど協力。巨人や阪神も東西のアマリーグ「ヴィーナスリーグ」「ラッキーリーグ」を後援していることから、持ち前の明るさと行動力で、さらに踏み込んだバックアップを…と呼びかける矢先の、巨人復帰だった。

 多忙な1軍首脳陣では、“夢”は一時停止せざるを得ない。21年越しの夢をかなえた宮本さんのもう一つの野望がいつかかなう日を、日本中にいる野球女子が待っている。(記者コラム・軍司 敦史)

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