「豪快満弾!!第2の人生でも期待」元村田番記者が見た

スポーツ報知
試合後、チームメートから胴上げされる村田(カメラ・橋口 真)

◆ルートインBCリーグ 栃木8―8群馬(9日・小山市運動公園)

 巨人を昨季限りで自由契約となり、ルートインBCリーグ・栃木でプレーしていた村田修一内野手(37)が9日、今季最終戦(対群馬)に出場。試合後のセレモニーで正式に現役引退を表明した。「4番・三塁」でフル出場したラストゲームは5打数1安打。最後まで全力プレーとチームプレーを貫き、16年間の現役生活にピリオド。今後については未定としたものの「いつかみなさんと笑顔でお会いできたら」と指導者などの形で球界に携わる意向を示した。

 通算360本塁打を放ったスラッガーでありながら、ゲッツーでもファンを笑顔にする。いかつい風貌でガニ股歩き。どこか昭和の香りを漂わせ話しかけづらい雰囲気を出しつつも、1の質問に10で返すギャップ。そんな村田修一は関係者や報道陣、接してきた多くの人間から愛された。

 早すぎる引退を惜しむ声もある。12月で38歳。各球団が若手育成に走るのは良しとして、プロ野球界は惜しいスターを失った。

 巨人から戦力外通告を受け、1か月がたった昨年11月中旬。神奈川県内の自宅に招かれた。新天地は早々に決まるかに思われたが、まさかの長期化。話題は自然と去就に向いた。どの球団なら三塁手、右の大砲が手薄か―。大きな背中を丸くして各球団の戦力を調べていた。某球団のフロントと話がしたいと自ら売り込みをかけたが、門前払いされたこともあった。「いよいよ辞めないといけないのか…」。あんなに弱気な男を見たことがない。食卓に用意された料理も手つかずのまま。喉を通らなかった。

 02年ドラフト自由獲得枠で横浜(現DeNA)入りし、日本代表の4番を打った。原巨人のV3にも貢献。ただ、プロにすがるだけの男ではない。1月、神奈川県内で自主トレを取材した。この時には次のステップに進む覚悟を固めていた。

 「早かれ遅かれ、誰だっていつか辞めないといけない時が来る。オレにだって第2の人生がある」

 男・村田にとっての第2の人生とは…。卓越した打撃論とトーク力を生かした指導者や解説者。抜群の求心力を生かして次世代の人材を育成する教育者になるのもありだろう。営業マン転身なら幅広い人脈と現役終盤から覚えた英語も生きる。「野球だけが全てじゃない」。道は広がっている。

 リビングには、プロ入りからずっと詩人の山本よしきさんの詩が飾ってある。

 「下り坂 回れ右すりゃ 登り坂 目の位置変えれば ピンチも チャンスに」

 男にしか打てない豪快な“満塁弾”を期待したい。(元村田番・小谷 真弥)

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