【独占激白!松井秀喜】〈7〉長嶋監督と1対1の真剣勝負

2018年1月22日16時0分  スポーツ報知
  • 2014年の巨人・宮崎キャンプでの松井秀喜氏と長嶋茂雄氏

 巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏(43)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が史上最年少43歳7か月で野球殿堂入りを果たした。日米通算507本塁打を放った松井氏は、史上最多336票を集め、野茂英雄氏の45歳4か月を抜いて、史上最年少で選出された(プレーヤー表彰)。スポーツ報知では、松井氏の殿堂入りを記念して、「独占激白!松井秀喜」を連載する。

 後半は2013年5月に国民栄誉賞をともに受賞した巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(81)=報知新聞社客員=への思いを受賞時の独占インタビューから振り返る。

 ―松井さんにとって素振りとは、長嶋監督と出会うまでそこまで重要視していなかったのでしょうか。

 「もちろん、素振り自体はしていましたが、スイングの『音』を意識したことはなかったです。それまでは、素振りで自分のいい悪いを判断するすべを持っていませんでした」

 ―密室での素振りはどんな感じでしたか。

 「監督は例えばアウトコース高め、といった感じで、投手の投げるコースを決めてバットを出します。で、振る瞬間に、バットを引きます。ギリギリまで、バットは出たままです。だから監督も、すごい集中力を持ってやっていたはずです。僕はそのバットを打とうと思って振りますからね。一度だけ、僕のスイングが監督のバットに当たったことがありました。『パコーン』って。すごい音がして。本当にびっくりしました。幸い、何ともなかったんですが、監督は自分が悪いと思って『ごめんごめん』って」

 ―例えると。

 「真剣勝負です。僕は全身全霊で振ります。じゃないと、監督に一発で見抜かれます。『おまえちゃんと振っているのか』って。手抜きはまるで許されない空間でした。だから、いつも素振りを終えると汗だくでした。一番困ったのは、寝ている時に電話があった時(笑い)。体が寝ていますから。熱いシャワーを浴びて、髪の毛びしょびしょのまま出掛けたこともありました」

 ―スイングの音で「会話」していたといいますが、音を聞き分けることはできたんですか。

 「最初はまったくわかりませんでした。でも、96、97年かな。監督の言っている音の違いが、自分でわかるようになりました」

 ―理想の音とは。

 「軽く振っていい音が出る。監督はそれが理想だと言っていました。具体的には、軽く振って“ピュッ”という音が出る時。高い音がいいんですよ。“ブーン”とか“ブォーン”はダメ、つまり音が割れるとダメなんです。一瞬で短くて高い音。(空気を)“切る音”といえばいいんでしょうか。これは難しいんですよ。なかなか出ません」

=つづく=(聞き手・鈴村 雄一郎)

 ◆松井 秀喜(まつい・ひでき)1974年6月12日、石川県生まれ。43歳。星稜高時代、甲子園4度出場。92年夏の甲子園では5連続敬遠され、社会問題にまで発展。高校通算60本塁打。92年ドラフト1位で巨人入団。リーグMVP3度、首位打者1度、本塁打王、打点王各3度獲得。03年にヤンキースへFA移籍し、09年ワールドシリーズで3本塁打を放ちMVP。エンゼルス、アスレチックス、レイズを経て12年限りで現役引退。13年に巨人・長嶋茂雄終身名誉監督とともに国民栄誉賞受賞。15年にヤンキースGM付特別アドバイザー就任。日本通算1268試合、打率3割4厘、332本塁打、889打点。日米通算2504試合、打率2割9分3厘、507本塁打、1649打点。

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