大阪桐蔭・中川、優勝し号泣する姿にみた強烈なキャプテンシー 

2018年8月28日14時0分  スポーツ報知
  • 大阪桐蔭・中川卓也主将

 第100回全国高校野球選手権記念大会は熱戦に次ぐ熱戦の末、大阪桐蔭が史上初となる2度目の春夏連覇を達成し、幕を閉じました。スポーツ報知のルーキー女性記者が初の甲子園取材でネット裏からアルプススタンドに至るまでフル稼働。汗と涙にまみれて追いかけた真夏の一瞬を「見た」コラムで振り返ります。

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 100回大会にふさわしい決勝だった。吹き荒れる“カナノウ旋風”に屈することなく立ち向かう雄姿に、大阪桐蔭の強さがあった。

 タレント集団を「本物のチーム」へと成長させたのは中川卓也主将(3年)だ。決勝後、喜びを爆発させるナインのなかで、たった1人アルプス前で大粒の涙を流し、崩れ落ちた。「みんなのうれしそうな顔を見て、込み上げるものがあった」と、涙を拭った。

 1年前と同じだった。3回戦の高岡商戦、2点リードの9回2死二塁。嫌な空気が流れる中、中川は仲間をマウンドに集めた。「去年の二の舞いにはならないぞ」。昨夏の3回戦の仙台育英戦。9回2死一、二塁、遊ゴロの送球に一塁ベースを踏み損ね、逆転サヨナラ負けを喫した。どん底だった気持ちを奮い立たせ、新主将として「春夏連覇。全員で日本一になろう」とチームを鼓舞し続けた。

 「中川のチーム」と断言したのは西谷浩一監督(48)だ。「強さがある。監督より背負ってるのでは。そこまで言わなくてもと思うくらいキツく言う」と西谷監督は冗談めかしたが、その言葉で私の脳裏に浮かんだのは巨人の第18代主将・阿部慎之助だった。かつて原辰徳前監督は巨人を「慎之助のチーム」と言った。ベテランになってからも、チームの不振に悩む主将・坂本勇に「誰に何を言われようと、嫌われる覚悟でガツガツ言わないといけない」と助言した。

 決勝後、ナインからは「中川を中心に」の言葉が飛び交った。「嫌われる覚悟でやってきた。キャプテンをしてよかった」と、はにかんだ主将は、胸元の金メダルに負けないぐらいに輝いていた。

 選手の熱闘をたたえるように、甲子園の空には虹がかかっていた。吹き出す汗を拭いながら、ペンを走らせた私は紛れもなく、高校野球の虜(とりこ)になっていた。(森下 知玲)

 ◆森下 知玲(もりした・ちあき)1995年、福井市生まれ。22歳。関大卒。趣味は野球観戦と映画観賞。中学でソフトボールをしており、大学では軟式野球同好会でマネジャーを務めていた。マイブームは温泉巡り。日本三名泉制覇のため、群馬・草津温泉への日帰り旅行を計画中。

週刊報知高校野球
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