佐藤由規、大粒の涙で語った家族への感謝…元担当記者が語る運命のドラフト思い出のシーン

2018年10月20日14時0分  スポーツ報知
  • ヤクルトが交渉権を獲得した仙台育英・佐藤由規が会見中涙ながらに感謝を表す

 いよいよ運命のドラフト会議が近づいてきました。当日、指名された選手の会見場では喜びや戸惑い、そして涙とさまざまな人間模様が渦巻きます。今週の「週刊報知高校野球」ではスポーツ報知の記者3人が、心に残るドラフト会見のシーンについて「見た」でつづりました。

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 5球団1巡目競合07年ヤクルトドラ1 喜怒哀楽―。ドラフト会議当日、全国各地に点在するドラフト候補選手の会見場には、さまざまな感情が渦巻く。その中でも、私のアマチュア野球担当歴で忘れられないシーンがある。仙台育英の157キロ右腕・佐藤由規(前ヤクルト・由規)に5球団が1巡目で競合した07年の高校生ドラフトだ。

 10月3日。私は仙台育英の体育館にいた。この年の高校生ドラフトは大阪桐蔭・中田翔(現日本ハム)、成田・唐川侑己(現ロッテ)、そして、由規が「BIG3」と呼ばれ、大きな注目を集めていた。実際、由規以外にも中田に4球団、唐川に2球団がそれぞれ競合。アマ選手への金銭供与問題で指名権を剥奪されていた西武を除く全11球団がこの3人に集中したほどだ。

 由規には意中の球団があった。地元・仙台を本拠地にする楽天だ。楽天も地元から誕生した甲子園のスターは喉から手が出るほど欲しい。言わば相思相愛の関係だったが、抽選の結果、由規の交渉権はヤクルトが獲得。その後に行われた会見で大粒の涙を流した。

 だが、楽天行きがかなわなかった―という悔し涙ではなかった。「野球を始めたきっかけは兄(史規さん)だし、苦しいことも楽しいこともあったけど、両親の支えがあったからここまで来られた…」。家族に対する感謝の言葉を口にしたことであふれ出た涙だった。

 佐藤家の絆の強さは筋金入りで、甲子園敗退、入寮、プロ初勝利、右肩手術からの復活勝利。節目にはいつも家族がいて、由規のみならず、家族みんなの涙があった。そして、先日のヤクルト退団会見―。

 由規は「苦しんだから、まだまだ野球がやりたい。ボロボロになるまでやりたい」と言った。さすがにこの時ばかりは家族の姿はなかったが、家族の愛が、支えがあるから、どんなに苦しくても頑張れる。由規が再び復活を遂げる日がやってくることを信じている。(アマ野球キャップ・片岡 泰彦)

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