【センバツ】山瀬、奥川で星稜23年ぶり1勝…全中制覇2年生バッテリー

スポーツ報知
9回、一塁ベースカバーに入る星稜・奥川

◆第90回記念センバツ高校野球大会第7日 ▽2回戦 星稜11―2富島(29日・甲子園)

 13年ぶり12度目出場の星稜(石川)が富島(宮崎)を11―2で下し、1995年以来23年ぶりのセンバツ勝利を挙げた。3回1死から登板した最速146キロ右腕・奥川恭伸(2年)が無失点に抑え、山瀬慎之助捕手(2年)が2本の二塁打で3打点と活躍。石川・宇ノ気中で全国制覇を果たした2年生バッテリーが快勝の原動力に。春夏通算30度出場の星稜にとって、11得点は81、83年春、92年夏に並ぶ史上最多得点。31日の3回戦で、8強入りをかけて近江(滋賀)と対戦する。

 2年生バッテリーが、会心の笑顔で勝利のハイタッチを交わした。奥川と山瀬は宇ノ気小4年時からバッテリーを組み、宇ノ気中3年時に全国中学校軟式大会で全国制覇を果たした。お立ち台で山瀬と並んだ奥川は「2人の夢だった甲子園で勝てて、うれしい」と照れくさそうに語った。

 甲子園のマウンドでも、奥川は笑顔を絶やさなかった。「常に笑顔でいることで、観客やいろんな人を味方につけられる。野手にも安心感を与えられる」と中学時代から心がけてきた。先発の竹谷理央主将(3年)が逆転を許した3回1死一塁で登板。「景色も違うし、何も覚えていないぐらい緊張した」ものの、2者連続空振り三振に仕留めた。4回以降は144キロの直球を中心に今月10日に覚えたばかりのフォークも交え、最後まで得点を与えなかった。

 自己採点は「20~30点」と厳しかったが、「調子が良くない中でも真っすぐに自信を持って投げることができた」。通学電車内では、バインダークリップを指先でつまむ自己流の練習も実践。「練習法が正しいか分からないが、指先にボールが引っ掛かる感覚がつかめた」。ボールの回転数を上げることで、直球の質をさらに高めた。

 女房役の山瀬は、バットで奥川を援護した。3回に左中間適時二塁打、4回にも2点二塁打で3打点と活躍。名前の由来でもある巨人・阿部慎之助内野手(39)に憧れ、阿部グッズを愛用し、投手に声をかける時にマスクを上げる角度もマネしている。「自分も打てる捕手を目指している」。林和成監督(42)から「冬の強化指定選手」として徹底指導された打撃で結果を残し、「昨秋なら詰まっていた打球も(野手の)頭を越えるようになった」と喜んだ。

 奥川と山瀬は「高校でも全国制覇しよう」と誓い、そろって星稜進学を決めた。「山瀬が甲子園で打ってくれて、自分もうれしくなった。『だったら自分も結果を出さなければ』と一生懸命投げた」と奥川。星稜23年ぶりのセンバツ勝利が、2人の新たな夢の第一歩となった。(勝田 成紀)

 ◆星稜の甲子園最多得点 甲子園での11得点は、富島戦で4度目の記録となった。過去の試合は、1981年春1回戦・高崎(群馬)戦(11〇1)、83年春1回戦・熊本工(熊本)戦(11〇4)、松井秀喜氏や林監督も出場した92年夏1回戦・長岡向陵(新潟)戦(11〇0)。春の石川県勢では、遊学館が2003年2回戦・近大付(大阪)戦(16〇8)で記録した16得点に次いで2位タイ。

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