【センバツ】花巻東、劇的サヨナラ 9回までノーヒットノーランから決めた8強

スポーツ報知
延長10回、花巻東・紺野はサヨナラのホームに滑り込んでガッツポーズ

◆第90回センバツ高校野球大会第9日 ▽3回戦 花巻東1x─0彦根東(31日・甲子園)

 粘り勝ちだ。3回戦で花巻東(岩手)が彦根東(滋賀)に延長10回、1―0で競り勝って8強進出を決めた。相手エース・増居翔太(3年)の前に、9回を終えて無安打と打線が沈黙。だが、10回に4番・紺野留斗(りゅうと)左翼手(3年)が初安打。その後、無死満塁の好機に、途中出場の藤森晃希三塁手(3年)の中犠飛でサヨナラ勝ちした。守備でも1回途中から救援して10回6安打完封の背番号11・伊藤翼(3年)の力投や、再三見せた好プレーで食らいついた。準々決勝は1日の第3試合で、センバツ連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と対戦する。

 球場の異様な空気にも屈しなかった。延長10回無死満塁。9回表の守備から途中出場した花巻東・藤森が、サヨナラ勝ちとなる中犠飛だ。9回まで彦根東のエース左腕・増居に無安打に抑えられて延長に突入。増居を応援するかのような球場全体の雰囲気に負けず、「コンパクトな振りを意識した。うれしいです」と殊勲打の藤森は笑顔だ。2011年の東日本大震災で岩手・野田村の自宅が津波で流される被害を受けた藤森。「野球をやれるのは当たり前じゃない。頑張りたい」。言葉通りの働きを見せた。

 無安打の嫌な流れでも粘れたのは、2番手での登板で完封劇を演じた伊藤を中心とした、守備の頑張りがあったからだ。1回無死一塁、カウント2ボールから救援登板した伊藤は127球の熱投。直球の球速は120キロ台だが、右打者の内角に食い込むシュート、タイミングを外すチェンジアップと、昨秋から磨きをかけてきた変化球が生き、佐々木洋監督(42)も「安定していた」と評価した。

 守備陣も好プレーを連発した。1回2死一塁で主将の菅原颯太三塁手(3年)が、三塁カメラマン席へ飛び込みながら三邪飛を好捕。6回1死三塁では猛チャージした上戸鎖飛龍(かみとくさり・ひりゅう)一塁手(3年)が、バント処理で打者へタッチ後すぐに三塁走者を三本間に挟み、ピンチを脱した(三走は守備妨害でアウト)。8回2死一塁では、菅野豪琉(たける)中堅手(3年)が前進しながらダイビングキャッチ。上戸鎖は「(チャージは)練習していた。怖さはなかったし、負けたくない気持ちでいった」と胸を張った。

 負けてもおかしくない試合展開を乗り越え、西武・菊池雄星投手(26)を擁して準優勝した2009年以来の8強入り。大阪桐蔭との一戦へ、指揮官は「こういう流れで勝利をつかめた。流れを生かしていければいい」と気を引き締めた。粘ってつかんだ白星の勢いで、センバツ連覇を狙う相手にぶつかっていく。(有吉 広紀)

野球

×