【北北海道】クラークの145キロ右腕・ピダーソンにスカウト熱視線

スポーツ報知
クラークでの最初で最後の夏に挑むピダーソン

 沖縄大会などが開幕し、第100回を迎えた夏の甲子園出場を懸けた地方大会が本格化する。週刊報知高校野球では、3週にわたって各地の注目選手を紹介。クラーク(北北海道)の最速145キロ右腕・ピダーソン和紀(3年)は、1年秋に鎮西(熊本)から転入。今春に1年間出場が認められない高野連規定が明け、最後の夏に新エースとして臨む。

 秘密兵器のまま、終わるつもりはない―。クラークのエース右腕・ピダーソンが、最後の夏へ挑む。甲子園切符を懸けた北北海道大会空知地区予選の初戦(2回戦)を29日に控え、「楽しみです。とにかく、チームの戦力になって甲子園に行きたい」。柔和な瞳の奥に、闘志をみなぎらせた。

 カナダ人の父と日本人の母を持つ。183センチ、84キロの恵まれた体格。将来を期待され、一時は熊本の名門・鎮西に入学した。だが、1年春に右手首けんしょう炎、同年夏に右肩痛を発症。度重なる故障に「練習環境を変えたかった」。インターネットで見つけたクラークに自ら電話。再起を懸け、一昨年冬に九州から北国への転校を決意した。

球速30キロアップ 同校がある北海道深川市は、道北の旭川市から車で約45分。冬は氷点下20度を記録する極寒の地に、当初は「不安もあった」。だが、高野連の規定で出場できなかった1年間は体づくりに専念。試合に合わせて調整する必要はなく、徹底的に体を追い込んできたことで、最速は約30キロ増の145キロを計測するまでに急成長した。

 今年3月の道外遠征では、智弁和歌山との練習試合に先発。1―3で敗れるも、9回3失点(自責1)と今春センバツ準優勝校を相手に好投した。佐々木啓司監督(62)は前任の駒大岩見沢時代の教え子で、元巨人投手の佐藤誠(現巨人マネジャー)を引き合いに出し、「高校時代の佐藤より上。1年間で伸びたね」と潜在能力を評価する。

 今春は道外遠征での連投の疲労を考慮し、空知地区代表決定戦(対深川西)でわずか1/3回を投げただけ。それだけに日本ハムの白井スカウトは「まだ見ていないが、どれだけ投げるか夏は注目したい」と熱視線を送る。右腕も「春はチームに貢献できなかった分、夏は死ぬ気で抑えたい」と意気込む。北の大地で急成長した剛腕が、最初で最後の甲子園切符をつかむ。(清藤 駿太)

 ◆ピダーソン 和紀(ぴだーそん・かずき)2000年7月24日、東京都生まれ。17歳。熊本市立託麻原小2年時に託麻フェニックスで野球を始める。熊本湖東中から鎮西に進み、一昨年12月にクラークへ転校した。家族は両親と妹。183センチ、84キロ。右投右打。遠投は110メートル。

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