【西東京】早実、清宮応援歌で燃えた逆転で初戦突破 野村主将「ホッ」

スポーツ報知
2回から2番手で好救援し、バットでも8回に決勝打を放った早実・雪山(カメラ・青柳 明)

◆第100回全国高校野球選手権記念西東京大会 ▽3回戦 早実11―3早大学院(15日・ダイワハウススタジアム八王子)

 清宮先輩、勝ちました! 西東京では、早実が今春卒業した日本ハム・清宮から届いたビデオメッセージを見て奮起。1点を追う8回2死走者なしからの逆転劇で早大学院との「WASEDA」対決を制し、苦しみながらも初戦を突破した。秋田では、金足農のプロ注目右腕・吉田輝星(こうせい、3年)が、自己最速を3キロ更新する150キロをマークするなど、毎回の16奪三振で3安打完封発進。14日に敗退した大船渡(岩手)の154キロ右腕・佐々木朗希(ろうき、2年)に並ぶみちのくの怪腕が存在感を示した。

 最後の打者を空振り三振に仕留めたエース・雪山幹太(3年)は、小さく右挙を握った。1安打で終わった4番で主将の野村大樹三塁手(3年)は、安どの表情で整列へ向かった。「勝ててホッとしました。流れの悪い状況で、8回2死から逆転できたのは、次につながる」。そっくりな「WASEDA」のユニホームを着た早大学院ナインと、笑顔で健闘をたたえ合った。

 清宮世代から継承した「逆転の早実」を体現した。1点を追う8回無死一塁で、三振と守備妨害で2死無走者に。追い上げムードが一気にしぼんだが、ここから4連打と相手失策が絡み、3得点で逆転に成功。9回には2本塁打などで6点を挙げ、一気に突き放した。

 高校通算66本塁打のプロ注目スラッガー・野村は「去年は逆転が多くてきょうは似たような展開。受け継がれているのかなと思った」。2回から2番手で8回2安打無失点と好投し、同点とした直後の8回2死一、二塁から左前へ決勝打を放った雪山は「(演奏曲が同じ)相手の応援を自分のBGMにして投げました」と汗を拭った。

 奇跡的な逆転劇の裏には清宮からのビデオメッセージがあった。試合前夜。ナインが集まり映像が始まると、日本ハムのユニホームを着た前主将が「紺碧(こんぺき)の空」をアカペラで熱唱。「お前たちの方が上だと思うから、優勝しろよ」と激励された。ともにクリーンアップを組んだ野村は「盛り上がりましたね」とチームの結束を実感した。

 5年ぶり4度目となる「ワセダ対決」を制し、ヒヤヒヤの初戦突破。昨夏もエースナンバーを背負い、決勝の東海大菅生戦で敗戦投手となった雪山は「去年の先輩たちの分も戦っている。勝って恩返しをしたい」。第1回大会に出場した名門が、100回目の夏に新たな歴史を刻む。(青柳 明)

 ◆夏の「ワセダ対決」 今回が4度目の対戦で、全て早実が勝利。最初の対戦は、東西東京大会に分かれる前の1969年東京大会1回戦で12―0。41年ぶりの対戦で注目を集めた2010年西東京大会準決勝は7―3。13年同3回戦では、9―2の8回コールドで早実が圧倒した。

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