【栃木】宇都宮工、9回5点差大逆転 6年ぶり8強

スポーツ報知
サヨナラ本塁打を放った及川(中央手前)を迎える宇都宮工ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念栃木大会 ▽3回戦 宇都宮工10x―8宇都宮商(15日・栃木市総合運動公園)

 澄みきった真夏の青空に、歓声と悲鳴が交錯した。宇都宮工は9回、5点差を追いつき、なお1死二塁。途中出場の及川陸捕手(3年)が内角直球を振り抜いた。快音を残した打球は、左翼席に舞い降りた。サヨナラ2ラン。奇跡の大逆転勝ちだ。

 「外野に落ちるとは思ったけど、まさかホームランとは。今まで練習してきたことが結びつきました!」。ナインにもみくちゃにされたヒーローは、小麦色に焼けた肌から白い歯をのぞかせた。

 敗色濃厚だった。同点の7回から登板したエース・田崎蓮(3年)がまさかの大乱調。この回に9番打者に3ランを浴びるなど失点を重ね、3回で計6失点。8回に1点こそ返したものの、流れは一気に宇都宮商に傾き、5点差で最後の攻撃を迎えていた。

 それでも、ナインは誰一人諦めていなかった。9回の攻撃が始まる前、大柿迅翔主将(3年)が「高校野球は最後まで何があるか分からない」と声を張り上げた。全員がベンチで前のめりになって戦況を見つめていた。

 粘りに粘って、9球目を打ち抜いた背番号12の公式戦初アーチでチームは6年ぶりの8強入り。「次の試合に挑めることがよかったです」。勢いも味方につけた宇都宮工ナインが、無欲で快進撃を続けていく。(伊藤 明日香)

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