【東兵庫】関西学院、甲子園レジェンドの息子・水口のコールド口火打で逆転発進

スポーツ報知
4回1死一塁、同点の適時二塁打を放ち、一気に三塁を狙う関西学院・水口(カメラ・渡辺 了文)

◆第100回全国高校野球選手権記念東兵庫大会 ▽2回戦 関西学院11―2県西宮=8回コールド=(15日・ほっと神戸)

 東兵庫では、父が元オリックスの水口栄二氏の関西学院・水口登間(とうま)内野手(2年)が、2安打1打点の活躍で初戦コールド勝ちに貢献した。西東京では、早実が今春卒業した日本ハム・清宮から届いたビデオメッセージを見て奮起。1点を追う8回2死走者なしからの逆転劇で、苦しみながらも初戦を突破した。秋田では、金足農のプロ注目右腕・吉田輝星(こうせい、3年)が、自己最速を3キロ更新する150キロをマークするなど、毎回の16奪三振で3安打完封発進した。

 伝説の父をほうふつとさせる鋭い打球が右翼線へ飛んだ。7回無死一塁、関西学院の水口が二塁打でチャンスを拡大すると、この回一気に6点を奪い勝負を決めた。6回までの重苦しい展開を打破し、2年生4番が2安打1打点で初戦突破に貢献。「緊張したけど、(3、5番に)先輩2人がいて安心して打席に入れました」と屈託のない笑顔を見せた。

 父は近鉄、オリックスで活躍した水口栄二氏(49)だ。松山商時代の86年夏に主将で準優勝。積み重ねた19安打は、いまだに広陵・中村奨成(現広島)と並ぶ個人大会最多安打記録だ。「『ボールが止まっとった』と父は言っていました。自分にはまだ経験がないです。雲の上のような存在です」と目を輝かせた。

 自身は身長180センチの長距離砲だが、父は174センチとプロ野球選手としては小柄だった。しかし17年間現役を続け、歴代13位の通算279犠打を記録した。「小さくても諦めないで努力してやっている姿を見習わないといけない」と手本にしている。

 今春は調子が悪くベンチから外れたが、父から「ヘッドが動かないように意識しなさい」と助言を受け打撃が上向いた。背番号16で夏のベンチ入りを果たすと、直前の紅白戦で安打を放ち、公式戦初の4番に抜てきされた。父から「緊張の中で、できるかが底力。思い切っていってこい」と言われ吹っ切れた。

 関西学院は全国に15校しかない第1回大会からの出場皆勤校。9年ぶり夏の甲子園をかけて第100回の記念大会に臨む広岡正信監督(64)には「伝統校なので責任を果たしたい」と重圧がのしかかる。しかし水口は「最近まで知りませんでした」とあっけらかんとした。次戦の甲南戦に向けて「今日の2本は忘れて、次の試合でもチームに貢献したいです」と活躍を誓った。(牟禮 聡志)

 ◆86年夏の水口栄二 松山商(愛媛)の主将として出場。天理(奈良)との決勝は2―3で敗れたが、準決勝、決勝で8打席連続安打を積み重ね、通算19安打の大会最多安打記録を樹立した。通算打率6割5分5厘、通算塁打27も、当時の1大会最高記録だった。早大では1年時から遊撃を守り、東京六大学リーグでベストナインを4度獲得。4年春に主将でリーグ戦優勝を果たした。90年のドラフト2位で近鉄に入団し、球団合併後のオリックスを経て07年に引退した。

 ◆水口 登間(みずぐち・とうま)2002年2月22日、大阪府生まれ。16歳。小学1年から軟式の「苦楽園オールヒーローズ」で野球を始める。苦楽園中時代は軟式野球部。関西学院では1年秋から背番号20でベンチ入りも、今春はベンチ外。50メートル走6秒8。家族は両親と兄2人。180センチ、80キロ。右投左打。

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