【石川】遊学館、宿敵・金沢撃破で創部18年連続8強

スポーツ報知
ライバルの金沢を下して創部以来18年連続の8強進出を決めた遊学館ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念石川大会▽3回戦 遊学館5―4金沢(19日・金沢市民)

 3回戦4試合が行われ、遊学館が金沢を5―4で下し、2001年の創部以来18年連続の8強進出を決めた。プロ注目の捕手・牧野翔矢(3年)が“隠し玉”として公式戦初登板。4回4失点を喫したが、4番打者として2本の二塁打を含む3安打で勝利に貢献。01年以降の両校対決は14回目(うち決勝8回)で、遊学館の9勝5敗となった。

 遊学館の“秘密兵器”が、ついにベールを脱いだ。強肩・強打・俊足の捕手で、大会前にはプロ11球団が視察に訪れたという牧野が、先発のマウンドに上がった。捕手として超高校級の二塁送球1・8秒台の強肩で、いきなり142キロを記録。3回までを無安打無失点に抑えた。

 3年ぶりの夏の王座奪回を見据えた今春、山本雅弘監督(67)は「すべてに優れたアスリート」と評価する牧野を投手に抜てき。BCリーグの元石川ミリオンスターズ投手の蛇沢敦コーチ(38)は「とにかく地肩が強い。捕手だと送球時に重心が後ろに残るので重心移動を教えたぐらい。変化球もすぐに投げられたし、上(プロ)に行くなら投手でも面白い」とそのセンスにうなった。

 県内のライバルに「投手・牧野」の存在を隠すため、練習試合での登板は県外校との試合に限定した。指揮官は「うちの投手で一番球が速い。組み合わせが決まった時に金沢戦の先発を決めた」と明かした。

 だが、牧野は猛暑で体調を崩した4回に4失点。マウンドを下り、捕手の位置に入った。4番打者として、1回に二塁打、同点で迎えた5回にも先頭から二塁打を放ち、その後スクイズから勝ち越しのホームを踏んだ。3安打1打点と活躍したが、6回の守備中に両足がけいれんして交代。救急車で病院へ搬送された。

 大黒柱を失いリードはわずか1点。主将の坂元俊貴遊撃手(3年)は「翔矢がいなくなっても全員でカバーしていくぞ!」と声をかけナインは奮起。金沢を振り切った。

 創部以来18年連続の8強進出。過去8度、決勝で甲子園切符を争った金沢とのライバル対決に競り勝ち、山本監督は「(15年の)1―0の決勝の展開を思い出した。意地ですかね。金沢とは常に熱い戦いをしてきて、その流れが先輩から受け継がれている」。ノーシードからの頂点まで、あと3勝だ。(勝田 成紀)

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