【宮城】仙台育英、対外試合禁止処分明け9か月ぶり公式戦のブランクなしコールド発進

スポーツ報知
昨年秋以来の公式戦で勝利を手にした仙台育英ナイン。感慨深げに校歌を斉唱した

◆第100回全国高校野球選手権記念宮城大会▽2回戦 仙台育英8―1気仙沼向洋=7回コールド)(19日・石巻市民)

 宮城では、昨年12月に発覚した当時の3年生部員による飲酒・喫煙で6か月間の対外試合禁止処分を受けていた仙台育英が、昨年10月の東北大会以来、約9か月ぶりとなる公式戦に臨んだ。100試合以上に及ぶチーム内の紅白戦で実戦感覚を磨いたナインは、ブランクを感じさせずに7回コールドで快勝発進した。

 仙台育英が、たった2球で流れを引き寄せた。1回裏、1番に起用された熊谷大貴外野手(3年)が、右中間へ鋭い打球を運ぶ。右翼手のグラブをはじくと、中継ミスもあり一気に本塁を陥れた(記録は三塁打と敵失)。単に50メートル5秒6の快足が生きた1点ではない。「シートノックの時からゴロがあまり転がらなかった。打球が横にズレたら、行こうと思っていた」。グラウンド状態を見極め、先の塁を狙う姿勢が生きた。

 この先制点を口火に4連打。結局、初回に6安打を集め4点を先行した。強打だけじゃない。7回までにスクイズを3つ決めるなど、名将・佐々木順一朗監督(58)に代わって就任した須江航新監督(35)が自ら掲げる「走者が一塁なら積極的な攻撃、三塁に近いなら手堅い野球」を実践。投げては先発の田中星流(せりゅう)投手が、3回をパーフェクト投球。140キロ超の速球とカットボール、カーブで5連続を含む7奪三振をマークするなど、計3投手が1失点(自責0)に抑えた。

 対外試合禁止のため、今春の地区大会に出場できず、6月上旬まで他校との練習試合もできなかった。代案として100試合以上の紅白戦を行い、5月以降は成績上位の約50選手を4チームに分けてリーグ戦。優勝チーム全員が夏のベンチ入りという“特典”を懸けての真剣勝負で心身を鍛えた。

 この日は佐々木前監督も観戦。試合前は話せなかったが、須江監督は「佐々木先生には、大会1か月前の過ごし方を教えていただいた。コンディショニングを重視するのか、練習で最後の追い込みをかけるのか。佐々木先生は『今までやってきたことが確かだと思うなら、追い込まなくていい』とおっしゃった」。コンディショニングに配慮した新指揮官の結果は? 「(初戦としては)100点です」。新生・仙台育英が好スタートを切った。(須貝 徹)

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