【北北海道】100回大会一番乗り・旭川大高は昨春から「丸刈り禁止」

スポーツ報知
全国で一番早く甲子園出場を決め、マウンド付近で抱き合う旭川大高ナイン(カメラ・清藤 駿太)

◆第100回全国高校野球選手権記念北北海道大会▽決勝 旭川大高5―3クラーク(21日・旭川スタルヒン)

 北北海道で決勝が行われ、旭川大高が第100回の記念大会に全国56代表で一番乗りを決めた。プロ注目の146キロ右腕・沼田翔平(3年)が5回まで無安打投球を見せるなど、6安打3失点(自責1)で完投。強打のクラーク打線を封じ、チームを9年ぶりに、北北海道勢最多を更新する8度目の夏の甲子園出場へと導いた。22日は南北海道、栃木、宮崎など11大会で決勝が行われる。

 この瞬間を待っていた―。9回2死一塁。最後の打者を遊ゴロに仕留めると、旭川大高・沼田はバックスクリーンへ向かって両手を掲げた。9回を投げ、6安打3失点(自責1)。100回目の夏の甲子園切符を一番乗りでつかみ、「一番最初に決められてうれしい」と白い歯がこぼれた。

 圧巻だった。この日の最速143キロの直球を主体に、スライダーを織り交ぜ5回まで無安打。2点リードの6回に味方の失策絡みで同点に追いつかれるも「(相手が)直球狙いなのは分かっていたが、コースを突けば打たれない」。ピンチにも動じず、後続をしっかりと抑えて反撃の芽を摘んだ。

 一度は野球を諦め掛けた。小4の春に野球を始めるも目を充血させて帰宅。心配になった母・美智代さん(53)が病院に連れて行くと、シラカバアレルギーと診断された。北海道特有のシラカバ花粉症。道内では春先に花粉を飛ばすことで知られ、沼田は結膜炎を発症。やむなく屋内競技のバレーボールに転向した。

 だが、野球を諦めきれなかった。中学ではアレルギーと闘いながら、軟式野球部に入部。花粉がひどい日はアレルギー用の目薬を差し、時にはマスクを着用しながら練習もした。同学年の選手たちよりも競技歴が短く、「誰よりも下手だった」と美智代さん。それでも、両親が100万円をかけて作ってくれた自宅前の壁で毎日、ボールを当てて練習。地道な努力で最速は146キロを計測するまで成長した。

 さあ、9年ぶりの聖地。昨春には「何かを変えよう」と、端場雅治監督(49)の発案で部員の丸刈りが禁止された。爽やかなスポーツ刈りの沼田は「自分たちが情けない試合をすれば“髪なんて伸ばしてるから”と周りに言われる。恥ずかしくない試合がしたい」と言い切った。1回戦で白樺学園を倒し、決勝では3試合で打率5割2分3厘と強打のクラークを封じ込めた。“強豪アレルギー”にも打ち勝った右腕が、聖地へ乗り込む。(清藤 駿太)

野球

×