【高校野球 愛してま~す】乃木坂46・衛藤美彩が球児にエール「かけがえのない時間。精いっぱい輝いて」

スポーツ報知
グラウンド外も含め、かかわる全ての人の「思い」や「物語」が高校野球の魅力と語る衛藤(カメラ・橋口 真)

 各界の著名人が白球の魅力を語るインタビュー企画「高校野球 愛してま~す」。今回は人気アイドルグループ・乃木坂46の中でも一番の野球好きとして知られる衛藤美彩(25)が登場です。野球大好き一家に育ち、気づいたら高校野球の魅力にハマっていたという衛藤。野球愛を語るとともに、球児の皆さんに熱いエールを送ってくれました。(取材、構成=加藤 弘士)

 衛藤は大分市の出身。野球好きになったのは、名門校の投手として甲子園まであと一歩に迫った父と、野球少年だった3歳上の兄の影響が大きかった。

 「お父さんも社会人野球までずっとやっていました。少年野球のコーチをしていましたので、お兄ちゃんとは家でも『コーチと選手』でした(笑い)。兄は中学に入ってリトルシニアで硬式を始めるのですが、試合に出だして、家族みんなで応援に行きますから、小4だった私もいろんな県のすごい選手を見る機会に恵まれたんです。『今まで見てきた選手とはレベルが違うぞ』となって、それでますます野球が好きになりました。それまでは『お兄ちゃん、また私のお休みを取っちゃって!』と思っていたんですが(笑い)」

 小4だった衛藤のまぶたに今でも焼き付くのが、兄と同学年で、広島鯉城(りじょう)リトルシニアに所属していた中田翔(現日本ハム)の雄姿だ。

 「中田翔さんの中1の時を見ているのは、ちょっと自慢です。中田さんは投手をしていたのですが、山口のきららドームで兄とも対戦しまして。一人だけ大人みたいな体形で。ウチのチームのお母さんたちもみんな『すごい選手がいるのよ!』と話題沸騰でしたね」

 中田は大阪桐蔭時代、仙台育英・佐藤由規(現ヤクルト)、成田・唐川侑己(現ロッテ)と「高校BIG3」を形成し、注目を集めた。そして成田時代に唐川の女房役を務めた西田和也捕手と、衛藤の兄は幼なじみの親友だった。

 「西田さんはそもそも大分にいて、兄と一緒のチームだったのですが、中学に進学するタイミングで関東に引っ越すことになって。私たちとも家族ぐるみで仲がよかったんです。兄も『西田がいないなら、中学で野球をやる意味がない』と言って、部活ではなくリトルシニアに入ったぐらいで。だから兄は西田さんと『甲子園で会おう』と約束していたみたいなんです。そんな縁もあって、唐川投手は今でも家族ぐるみで応援させていただいています」

 衛藤が中2だった2006年夏の甲子園決勝では、早実対駒大苫小牧が延長15回引き分け再試合の死闘。自身の高校野球熱がさらに高まった。08年に高校へ進学したが、翌09年の夏は大分の高校球界が盛り上がりを見せた季節だった。今宮健太(現ソフトバンク)を擁する明豊が春夏連続の甲子園切符を奪い取ると、聖地で3勝を挙げる快進撃。準々決勝では菊池雄星(現西武)の花巻東に延長10回の末、惜敗したが、その戦いぶりは強く印象に残っている。

 「甲子園でベスト8ですよね! もうずっと熱く見ていました。大分大会の決勝は、仲のいい女子と自転車をこいで新大分球場へ見に行ったんですよ。負けたウチの野球部の選手もみんな見ていたなあ」

 衛藤にとって、高校野球の一番の魅力は何だろうか。

 「高校3年生にとってはやっぱり、最後じゃないですか。次がないという。1球1球に懸ける思いとか、ベンチには入れない、アルプススタンドの選手たちにも物語がある。それを支える家族の皆さんにも。いろんな立場の人たちが球場に集まっていて、かけがえのない時間を過ごしている。いろんな人の思いが乗っているところは、素晴らしいと思いますね」

 テレビ東京系の番組「乃木坂工事中」内でシングル曲が出されるたびにオンエアされる、選抜メンバーの発表は、高校野球の公式戦ベンチ入りメンバー発表を連想させる。選ばれた者、選ばれなかった者の胸中に“何か”が芽生え、ストレートな感情がそれぞれの明日への原動力となる点も―。

 「似ている点は確かにあるんですが、野球選手がすごいと思うのは実力社会で結果が全てじゃないですか。それまでの過程で何本素振りをして、走り込んだとしても、試合に出られるとは限らない。でも私たちはそこも評価されるというか、人間性やキャラクターという、歌やダンスがうまいという点とは別の部分も見ていただけるから、より勝負できる引き出しは多いなと思います。そして、高校までで野球を終える方が多いことを考えると―。私たちは1年に3回ほどシングルを出させていただいているので、先が見えるし、見なきゃいけない。でも高校球児は夏の大会なら、3回のチャンスしかない。だから、より懸ける思いが強いのかなと思います」

 最後に、青春を懸けて白球を追う高校生にエールを送っていただいた。

 「高校球児の皆さんは自分たちのために頑張ってプレーしていると思いますが、そのプレーを見て、勇気づけられている人もたくさんいると思います。それぐらい夢を与えられている存在なんだと思ってほしいし、誇りを持ってかけがえのない時間を精いっぱい、輝いてほしいなと思いますね」

 ◆衛藤 美彩(えとう・みさ)1993年1月4日、大分市生まれ。25歳。2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。16年には女子野球日本代表の公式サポーターを務めた。今年からフジテレビONE「プロ野球ニュース」の月曜MCを担当。5月13日にはヤフオクDでソフトバンク・日本ハム戦の始球式に登場。西川遥輝に対してノーバウンドのストライク投球で場内を沸かせた。

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