高岡商、10年ぶり夏勝利

スポーツ報知
7回5安打1失点の好投で10年ぶりの夏勝利を呼び込んだ高岡商のエース左腕・山田

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第3日▽1回戦 高岡商4―1佐賀商(7日・甲子園)

 2年連続出場の富山代表・高岡商は、佐賀商(佐賀)相手に4―1で10年ぶりの夏勝利を飾った。

 最速148キロのエース左腕、山田龍聖(3年)が試合中両足のけいれんに襲われるピンチにも動じず、7回まで5安打1失点と力投した。攻撃では5回2死、7番・井林泰雅三塁手(2年)が先制の中越え本塁打を含む1安打2打点の活躍。投打がかみ合いリードを広げた。2回戦は第9日(13日)第2試合で佐久長聖(長野)と対戦する。

 10年ぶりに味わう夏勝利の喜びをこめ、高岡商ナインが堂々と「2度目」の校歌を歌い上げた。注目の“商業対決”を制し就任5年目、4度目の甲子園で初勝利の吉田真監督(35)は「生徒たちのおかげ。感謝の気持ちでいっぱいです」と感無量の表情。チームは1日の甲子園見学でも校歌を歌い、勝利のイメージをつかみ本番に臨んだ。4打数2安打1打点と4番の役割を果たした筏(いかだ)秀生捕手(3年)は「絶対監督に1勝をプレゼントしたかった」と笑った。

 エース、山田が勝利を呼び込んだ。昨夏、甲子園初戦の東海大菅生(西東京)戦で途中登板し、1回1/3を投げ6失点と大炎上。試合後の取材通路で号泣したが、以前のひ弱さはなかった。佐賀商の大応援団も前に「吹奏楽がうまいなあと思った。楽しく投げられました」と笑み。伸びのある直球、スライダーを軸に、初回から142キロをマーク。3者凡退で流れに乗った。

 アクシデントにも動じなかった。6回2死一、二塁から中前打を浴び満塁のピンチを迎えた直後、両足の太もも、ふくらはぎをつってベンチで治療を受けた。「自分で招いたピンチは自分で終わらせたい」と続投を志願。下半身が自由に動かせない状況だったが「腕だけでスピンをかけられた」と、こん身の直球で見逃し三振を奪い、この回を無失点で抑えた。

 大会直前にフォームを見直した。以前から助言を受けていた高岡商OBで元ロッテ投手の干場崇永氏(46)のもと、キャッチボールから足の踏み込み、腕の振り方など投球を総点検した。干場氏は「肩の可動域や筋力、腕を振る力は高校生じゃない。基本さえできれば、すごいボールを投げられる」と山田を高評価。本来の球威を出すためアドバイス。山田は「ボールの質が上がって、今日結果も出ました」と7回5安打7Kの好投につながった大先輩の助言に感謝した。

 次戦は佐久長聖との“北信越対決”となる。「達成感もあるが、もっと進化していきたい。次は完封したい」と山田。成長途中のエースが、潜在能力を開花させる。(中田 康博)

 井林先制弾

 井林は、大歓声に拳を突き上げて応えた。5回2死。低めの直球を捉え、バックスクリーン左に飛び込む先制弾。「まさか入るとは。気持ち良かったです!」と、公式戦2号、高校通算8号を笑顔で振り返った。

 昨夏は1年生ながら県大会でベンチ入りも、甲子園でメンバー外となり「悔しかった」。昨年12月から各自「3か月で6万スイング」がノルマに設定されると、「自分が一番振る」とチーム最多の7万スイングを達成。努力が実り“聖地”でスタメン出場をつかんだ。

 1―1の7回1死満塁では、一ゴロが相手の失策を誘い、決勝点を挙げた(打点あり)。勝利に貢献した7番打者は、13日の佐久長聖戦へ「結果を気にせず、積極的に打つ」と言葉に力を込めた。(竹内 竜也)

野球

×