済美・矢野功一郎、甲子園史上初の逆転サヨナラ満塁弾 ファウルから浜風に乗ってポール直撃

2018年8月13日5時56分  スポーツ報知
  • 13回無死満塁、済美・矢野が右翼ポール直撃の逆転サヨナラ満塁本塁打を放つ

 ◆第100回全国高校野球選手権記念大会第8日 ▽2回戦 済美13x―11星稜=延長13回タイブレーク=(12日・甲子園)

 春夏通じて甲子園大会史上初となる逆転サヨナラ満塁弾が生まれた。済美(愛媛)が星稜(石川)を激闘の末に下し、2年連続16強入りを決めた。6点を追う8回に一挙8得点で大逆転し、今大会2度目のタイブレーク(無死一、二塁から攻撃開始)に突入した延長13回、矢野功一郎二塁手(3年)がファウルゾーンの打球が右翼ポールを直撃する“神風弾”を放ち、死闘に終止符を打った。この日で全56代表校が登場した。

 神風が吹いた。延長13回無死満塁、済美の矢野は6球目の内角スライダーをすくい上げた。「ファウルと思って塁間で足を止めた。1回(ファウルゾーンに)切れたけど、もう1回入ってくれた。『ツイてる』と思ったのは初めて」。打球は右翼から左翼方向に吹く浜風に乗って右翼ポールを直撃。春夏190回目にして、通算2404号は初の逆転サヨナラ満塁本塁打となった。

 試合前まで高校通算1本塁打の1番打者は「こんなことになるなんて、夢にも思わなかった。頭が真っ白。今までで最高の一日」と、公式戦初アーチに大興奮。アルプス席で応援した父・正和さん(41)も「漫画(みたい)です!」と、3日遅れのバースデープレゼントに涙を流した。

 開始から10分で5点を先取されたが、1―7の8回に打者11人で8得点を挙げて大逆転した。武田大和の2点適時内野安打などで1点差に迫ると、9番の政吉完哉が左翼に逆転3ランをたたき込んだ。「うまく風に乗ってくれた。風に『ありがとう!』と言いたい。『甲子園は怖いな』と思った」と、公式戦初本塁打に感激した。

 9回に追いつかれ、今大会の佐久長聖(長野)―旭川大高(北北海道)に次ぐ、甲子園大会2度目の延長タイブレークに突入。13回に2点を勝ち越されても、済美ナインは慌てなかった。6月に英明(香川)との練習試合でタイブレークは経験済み。普段から「サドンデス」という、タイブレーク対策を兼ねた紅白戦などもしていた。

 因縁の相手を返り討ちにした。明徳義塾(高知)出身の中矢太監督(44)は、1992年夏の甲子園の星稜戦で三塁コーチャーを務め、松井秀喜氏(44)の5打席連続敬遠を経験した。11日には選手に「勝つための最善の策」と状況によっては、敬遠策を取ると伝えた。同日には、恩師の馬淵史郎監督(62)から「頑張れよ」と電話で激励された。「星稜戦は、やっぱり何かが起こっちゃいましたね」と、指揮官も驚くミラクル勝利だ。

 2004年センバツは、準々決勝でダルビッシュ有(現カブス)の東北(宮城)と対戦。9回に5得点を奪って逆転サヨナラ勝ちし、頂点まで駆け上がった。「緊張感がハンパなくて、一生に1回のことを楽しくできた」と政吉。初の夏制覇へ、済美に風は吹いている。(伊井 亮一)

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