常葉大菊川・漢人友也88球完封 5年ぶり16強

スポーツ報知
88球で完封勝利した常葉大菊川・漢人

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第10日 ▽2回戦 常葉大菊川3―0日南学園(14日・甲子園)

 常葉大菊川(静岡)は、エース・漢人(かんど)友也(3年)が、わずか88球で日南学園(宮崎)を7安打完封。5年ぶりの16強入りを決めた。

 9回2死から安打を許しても、漢人のクールな表情は変わらなかった。冷静に日南学園の4番・門川を遊ゴロに仕留め、わずか88球で完封勝利。180センチ、62キロとスリムな大黒柱はチームを5年ぶりの3回戦に導き「完封は7回ぐらいから意識していました。コントロールがよく、テンポよく投げられた」と胸を張った。

 7日の益田東との1回戦から修正を施した。初めて経験する甲子園の高いマウンドで体が前のめりになり、初回にいきなり自己最速の138キロを計測。これで力が入り過ぎてしまった。オーバーペースになり、後半に球威が落ちて7失点で7回途中降板した。

 そこで、この日は制球を重視。変化球を低めに集め、ゴロを打たせることに専念した。バックも持ち前の堅守でエースをもり立てる。「ピンチではショートゴロを狙って打たせました」と根来龍真捕手。4併殺すべてに絡んだ奈良間大己遊撃手も「リズムがよくて守りやすかった。ベストピッチです」と漢人を褒めた。

 春は県8強に終わり、信頼を失っていた。長距離走が嫌い。マイペースを崩さない練習態度に、仲間の不満は膨らんだ。そんな時に控え捕手の大杉怜央に「走ろう」と声を掛けられ、早めにグラウンドに来て外野ポール間を往復走。毎日続けていくうちに球のキレが増し、前向きになった。左腕投手の榛村大吾も一緒に走るようになり、ナインの信頼も戻ってきた。チーム内事情に心を痛めて絶不調だった奈良間主将のバットも、夏の県大会では8割を記録するほどに復活した。

 大阪入り後も、短距離ダッシュなどで下半身をいじめて体調を維持。積極的に炎天下の厳しい練習に取り組んでいる。17日の近江戦も、仲間の信頼を力にして投げる。(里見 祐司)

 ◆漢人 友也(かんど・ともや)2000年5月3日、静岡県掛川市生まれ。18歳。小2で野球を始め、桜が丘中3年春に全国大会出場。高校では1年夏からベンチ入りし、秋からエース。180センチ、62キロ。右投左打。家族は両親と兄、妹。「漢人」姓は全国で約250人ほどの珍しい名字で、特に静岡県内で多く見られる。

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