横浜、猛追しのいで王者撃破 5年ぶり16強

スポーツ報知
9回のピンチをしのいで花咲徳栄に勝利、ほっとしたように喜び合う横浜ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第10日 ▽2回戦 横浜8―6花咲徳栄(14日・甲子園)

 優勝候補の横浜(南神奈川)が、昨年優勝の花咲徳栄(北埼玉)に競り勝ち、5年ぶりの16強入りを決めた。ベンチ外ながら、最速143キロを誇る1年生右腕・木下幹也を相手エース・野村佑希(3年)に見立てて対策を積み、4回の集中打でKOした。花咲徳栄は、打者として今秋ドラフト上位候補に挙がる野村が2試合連続弾を放つなど猛追したが、及ばなかった。

 誰もが固唾(かたず)をのんだ。4点リードの9回、3番手の黒須大誠が乱れ、内野安打と押し出し死球で2点差に迫られた。なおも2死満塁。フルカウント。長打が出れば逆転サヨナラの場面で、気力を振り絞った。1年生スラッガー・井上朋也は見逃せばボール球という外角低め直球を空振り三振。「球場の雰囲気にのまれたら終わり。覆いかぶさるような強い気持ちでいった」。薄氷の勝利に、2年生右腕は安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 前日(13日)の実戦形式の練習。7月の練習試合で打てなかった野村対策として“秘密兵器”を投入した。1年生の木下だ。南神奈川大会では背番号19でベンチ入り。184センチ、84キロの体格から投げ込む直球と鋭いスライダーは、仮想・野村に最適だった。テレビ番組「ビートたけしのスポーツ大将」に天才中学生として登場。ソフトバンク・松田をスライダーで空振り三振に斬った逸材だ。

 スーパー1年生を打ち込んだナインは、野村の投球を見切っていた。5番・内海貴斗は、同点の4回先頭で左中間二塁打を放って一挙6得点のビッグイニングの口火を切るなど、野村から2打数2安打。「スライダーのキレは木下の方がよかった。木下が投げてくれて、本当にありがたかったです」と、世田谷西シニア時代からの1年後輩に頭を下げた。

 過去2年は2回戦までに姿を消していたが、“鬼門”を突破。13年以来、5年ぶりの16強入りだ。「接戦に勝ったことも、去年の王者に勝ったことも、チームにとって大きな1勝になる」と斉藤大輝主将。「自分たちは『ハマスタが庭だ』とよく言われますけど、『甲子園も庭だ』と言われるようにしたい」。何度も聖地を沸かせた全国屈指の名門が、完全復活を遂げようとしている。(増田 寛)

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