金足農・大友朝陽、V弾「突破口を開きたかった」95年以来2勝

スポーツ報知
8回、左越えに勝ち越し本塁打を放った金足農・大友

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第10日 ▽2回戦 金足農6―3大垣日大(14日・甲子園)

 2回戦で金足農(秋田)が大垣日大(岐阜)に6―3で快勝した。金足農は3―3の同点で迎えた8回1死に「5番・中堅」の大友朝陽(3年)が左翼ポール際に勝ち越しの本塁打。序盤に3失点しながら粘投を続けたエース右腕・吉田輝星(こうせい、3年)に応える一撃で流れを引き寄せると、9回にも2点を追加して勝負を決めた。金足農は第13日(17日)第2試合で、横浜(南神奈川)と3回戦を戦う。

 “朝陽”の輝く一発が、チームを救った。3―3の8回1死。大友がファウルで粘った12球目、139キロの直球を振り抜いた。「(スタンドに)届いている」。思いをこめ見つめた先は左翼ポール際。三塁塁審が手を回したのを確認して、大きくガッツポーズした。高校通算3本目、公式戦初の本塁打が最高の場面で飛び出し「なんとか突破口を開きたかった。本塁打が打ててうれしい」。4万3000人の大観衆が沸く中、ダイヤモンドをゆっくり走り余韻に浸った。

 チームにとっても待望の一発だった。夏の秋田大会は本塁打ゼロ。甲子園に来るまで、ベンチ入り18人の高校通算本塁打数も合計でわずか14本。“雑草軍団”の異名らしく、つないでチャンスをもぎ取るのがチームのスタイルだ。中泉一豊監督(45)も「まさかホームランが出るとは。一番飛ばした打球じゃないかな」と言えば、苦しんでいたエース吉田も「目が覚めた」と大友の一発を絶賛した。9回にはルーチンでもある刀を抜くポーズを大友と吉田が決め、8強に進んだ1995年以来の夏2勝を挙げた。

 ひそかに狙っていた一撃だった。昨夏の甲子園で広陵・中村奨成捕手(現・広島)が大会新記録の6本塁打を放ったのをテレビで見た。「あの場所で打てたら気持ちがいいんだろうな」と憧れた。「守備ではあまり目立たないので、打つ方で目立ちたい」。冬場は練習で1000回の素振りを終えた後、自主的に500回を追加。通算2号を放った今年3月の練習試合後は「つなぐ打撃」を意識してきたが、大舞台で努力が実った。

 次戦の相手は甲子園で優勝5度(春3、夏2)を誇る強豪・横浜。2試合で311球を投げた吉田は中2日でのマウンドとなる。「強いチームと戦えるのは幸せ。吉田も頑張っているので、吉田のために打ち勝ちたい」と大友。再びエースを助ける打撃で、悲願の優勝へと歩みを進める。(遠藤 洋之)

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