奈良大付、田中監督の45歳誕生日を白星で飾れず

スポーツ報知
日大三に敗れた奈良大付の田中一訓監督

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第11日 ▽2回戦 日大三8―4奈良大付(15日・甲子園)

 初出場の奈良大付は、強力打線の日大三の前に3回戦進出を逃した。この日、45歳の誕生日を迎えた田中一訓監督に勝利をプレゼントすることはできなかったが、三塁側アルプス席を埋め尽くした大応援団からは、大きな拍手が送られた。

 5点ビハインドの6回1死一、三塁から、4番・上野拓真一塁手(3年)が左中間に公式戦初アーチを放ち2点差に迫ると、再び5点を追う9回には1死から連打でチャンスを作り、敵失で1点を返したが、反撃もそこまでだった。不調時も4番で起用し続けてくれた田中監督に「本当は自分の結果よりも勝つことをプレゼントしたかった」と悔やんだ。

 組み合わせ抽選で大会日程が決まった時から、選手たちはまず1勝して、田中監督の誕生日を甲子園で迎えようと心を合わせてきた。中本真教部長(37)は当初、サプライズでお祝いを考えていたが、準備しようとしていた13日夜に学校に忘れ物が発覚。「宿舎から学校まで取りに行って、時間がなくなってしまったんです」と頭をかいた。

 1回戦で羽黒(山形)に勝ち、甲子園出場をほぼ独占してきた県勢2強の智弁学園、天理以外では、25年ぶりとなる夏の白星を挙げた。同じく2強以外では1974年の郡山以来となる2回戦突破はならなかったが、田中監督は「最高の舞台で誕生日を迎えさせてもらった」と感謝した。

 「過去を生きるな。今を生きろ」が指揮官の口癖。中本部長は関大一高(大阪)で久保康友投手(元DeNA)らとともに1998年春夏甲子園出場経験を持つ。だが、選手たちの前で当時の経験を話したことはほとんどないという。「監督の言う通りだと思う。過去は過去でしかないですから。(甲子園出場を)知らない子もいるんじゃないですか。それでいいと思います」と話した。「今を生きる」奈良大付ナインが、新たな歴史を作り上げていく。

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