創志学園・西、号泣「申し訳ない」ガッツポーズを球審に注意され制球乱す

スポーツ報知
逆転負けを喫した創志学園の2年生エース西(左)は、先輩捕手・藤原の胸で号泣した(カメラ・泉 貫太)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第11日 ▽2回戦 下関国際5―4創志学園(15日・甲子園)

 1回戦で16奪三振の無四死球完封勝利を挙げた創志学園(岡山)の150キロ右腕・西純矢(2年)は、派手なガッツポーズを球審に注意された影響もあって制球を乱し、下関国際(山口)に逆転負け。2回戦で姿を消した。

 創志学園・西はあふれる涙をこらえることができなかった。同点の9回無死一、三塁、この日の173球目。中犠飛で1点を許し、勝ち越された。3安打9奪三振で完投したが、9四死球を与え5失点で逆転負け。「自分のふがいない投球で、このような形で終わらせてしまった。申し訳ない」。3年生に抱えられ、歩き出すのが精いっぱいだった。

 本来の姿ではなかった。初戦の創成館(長崎)戦は、16奪三振で無四死球完封。この日も初回に先頭打者から三振を奪い、トレードマークの派手なガッツポーズを披露した。しかしこれがリズムを狂わせる引き金になった。球審から序盤のイニング終了後、何度も「必要以上にほえないように」と注意されたのだ。日本高野連の竹中事務局長は「本部からは言っていない。審判の判断で注意したんじゃないか」と説明したが、本人は「強い口調で言われた。自然と出るものなので」と動揺を隠せなかった。

 雨が降り注ぐ中、2回以降は制球が乱れ、8回までに7四死球。それでも、この日最速148キロの直球を軸に1安打2失点に抑えた。3―2の8回に1点を追加したことで、心の隙が生まれた。「試合が終わったように、勝手に決めつけた」。9回、先頭からいきなり四死球を連発してピンチを招き、暴投も絡んで3失点。自ら勝利を手放した。

 8月15日は昨年10月に脳出血で亡くなった父・雅和さん(享年45)の誕生日。試合前には「今日もよろしくお願いします」と天に祈り、マウンドへ向かった。ピンチを背負うと「力を下さい」と空を見上げた。179球の熱投も勝利を届けられず「父を喜ばせようとしたマウンド。本当に申し訳ない」と号泣した。

 2戦連続完投で25奪三振。鮮烈な印象を残した2年生は2回戦で敗れ去った。「甲子園の良い思いも、怖い思いもした。一生この経験は忘れない。自分の大きな財産。またこの舞台に帰ってくる。砂は持ち帰りません」。決意を胸に、聖地を後にした。(牟禮 聡志)

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