報徳の辰徳は阪神・糸井のはとこ 3安打2打点V死球「貢献しようと思った」

スポーツ報知
5回1死一、三塁、報徳学園・糸井が追加点となる左中間適時二塁打を放つ(右は愛工大名電・秋山=カメラ・義村 治子)

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第12日 ▽3回戦 報徳学園7―2愛工大名電(16日・甲子園)

 名門・報徳学園(東兵庫)は、阪神・糸井のはとこにあたる糸井辰徳右翼手(3年)が、決勝の押し出し死球など3安打2打点の活躍。8年ぶりの8強をつかんだ。

 超人のDNAが聖地で覚醒した。1―1の3回2死満塁、報徳学園・糸井辰徳は押し出し死球で勝ち越し点を奪った。4―2の5回1死一、三塁では、左中間へ適時二塁打を放ち、5点目をたたき出した。阪神・糸井のはとこが3安打2打点と活躍し、お家芸の逆転勝ちで春夏通算60勝目を飾った。「この前は打てなかった(聖光学院戦で4打数1安打)ので、チームに貢献しようと思った」と真っ白い歯を見せた。

 2000年の辰年に生まれた糸井は、父・章裕さん(56)が巨人前監督・原辰徳氏のファンで「辰徳」と名付けられた。兄・慎太朗さんは10年前に同校で主将を務め、近田怜王(元ソフトバンク)の女房役として、第90回記念大会で8強入りした。兄からは「自分のベスト8を超えてくれ!」と激励を受けていた。7月に婚姻届を提出し、10月に挙式する慎太朗さんに、ご祝儀代わりの8年ぶりベスト8を贈った。

 糸井をキーマンに指名していた大角健二監督(38)は「独特の世界観がある。親戚(糸井)と一緒。調子が関係ない。計算できない選手」と評した。アウトカウントを間違えることがあるため、三塁ランナーコーチは糸井が出塁すると「糸井係」になる。

 7月31日の甲子園見学では、右翼の守備位置を確認する際に「芝生が生えていない(薄くなっている)ところが、僕の守る場所」と発言すると、周囲から「芝生が生えてきたらどうすんねん!」と突っ込まれた。

 「ポカンとしていることが多い」「天然でみんなからイジられている。サインミスとかもあった」。親戚譲りの“宇宙人的”エピソードは数知れず。それでも、打撃と身体能力の高さは際立ち、名門の5番を担っている。「ヨシ兄ちゃん」と慕う阪神・糸井に「『優勝したよ』と伝えられるように頑張っていきたい」とタツノリ。報徳の若大将が、糸井一族の悲願をかなえる。(伊井 亮一)

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