徳島商OB板東英二さん、ちょうど60年…聖地登板「味わったことのない緊張」

スポーツ報知
レジェンド始球式を務めた板東英二氏

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第12日(16日・甲子園)

 ちょうど、60年前(1958年)の8月16日なんですね。魚津(富山)との準々決勝は、延長18回を投げ切って0―0の引き分け再試合。無我夢中で、キャッチャーミットに向かって腕を振り続けました。

 78歳になった今も、ボールは握っているんですよ。週に3度ほど、少年野球の指導者の方とキャッチボールをしたり、100球をノルマにネットに向かって投げ込んだり。準備としては十分だったのですが、甲子園の始球式のマウンドは、やはり雰囲気が違います。

 きちんと投げなければいけない。万が一、打者の頭の近くにボールが行ったら…。これまで味わったことのない緊張を感じました。狙ったのはアウトロー。それも、できるだけ低い軌道で。イメージには近かったのですが、ミットの前でバウンドさせてはいけません。

 徳島商を卒業後、プロ野球の中日に入団しました。アマチュアとの交流がない時代に生きていたので、いったんプロに入ったら高校野球は別の世界。あつかましく入っていくものではないという観念を持っていました。こうして甲子園に呼んでいただいて、高校生と交わる機会を得たのは、本当にありがたいことです。

 始球式の投手としての採点は50点。甲子園のOBとして楽しめたかというと、緊張感ばかりでイエスとは言えませんが、高校野球が大好きな23歳と19歳の孫娘から「じじ、すごいね」というメールが届きました。「じじ」の面目を保てたということで、よしとしましょう。

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