常葉大菊川、8強ならずも笑顔…8点差9回意地の猛攻「幸せでした」

スポーツ報知
近江に敗れたが、涙は見せずに笑顔で甲子園を去った常葉大菊川ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第13日 ▽3回戦 近江9―4常葉大菊川(17日・甲子園)

 菊川、8強ならず。3回戦で近江(滋賀)と対戦した常葉大菊川は1―9の9回に猛反撃。1番・奈良間大己と4番・根来龍真(ともに3年)が三塁打を放つと、5番・伊藤勝仁(2年)が2ランを放って3得点。4―9で敗れたが、持ち前の攻撃野球を最後に見せて甲子園を去った。

 最後に「菊川らしさ」を見せた。近江の背番号1が登板した最終回。奈良間が左翼フェンス直撃の三塁打を放つと、鈴木琳央(3年)の犠飛で生還。最後まで諦めない。続く根来が右中間を破り、伊藤がファウルで粘った末の8球目を左翼スタンドへ運ぶと、ベンチはお祭り騒ぎだ。「今までで1番の当たり。球場が沸いて幸せでした」と2年生スラッガーは振り返った。

 前半は近江の左腕・林の前に沈黙。変化球攻めに手も足も出ず、5回2死から敵失で出塁するまで、パーフェクトに抑え込まれた。そこで意地を見せたのが、背番号14の宮崎泰地(3年)だ。6回先頭で代打に立ち、二遊間を速いゴロで破る。「みんな攻めていなかったので、初球から振ろうと思った」。控え選手の積極的なスイングがチーム初安打を呼び、流れを変えた。

 7回に伊藤の中前打で1点を返し、なお1死一、三塁。ここでも攻めた。投ゴロになったが、「一塁への送球モーションがゆっくりだった」と、三走・根来が本塁突入。間一髪でアウトになりチャンスは消えたが、「攻めの走塁はOK」という高橋利和監督(32)の指導を守り、次の塁を積極的に狙い続けた。

 8強は遠かった。それでも「みんなで楽しく菊川らしい攻撃野球ができた」と鈴木。奈良間主将も「やり切りました」と涙はない。伊藤は「林投手は同じ2年生。もう1回甲子園で」と誓った。ナインはこの日のうちに帰静し、新チームは18日から始動。フルスイングが代名詞の菊川野球は、101回大会以降も続いていく。(里見 祐司)

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