金足農・吉田輝星、桑田さんの前で勝つ!「東北初の優勝旗は、絶対に自分たちが取りたい」

スポーツ報知
梨栽培をしている祖父にちなみ、梨を手に笑顔の吉田

◆第100回全国高校野球選手権記念大会

 第100回全国高校野球選手権記念大会は20日、甲子園で準決勝が行われる。金足農(秋田)の150キロ右腕・吉田輝星(こうせい、3年)は19日、日大三(西東京)戦で後攻を取り、「甲子園レジェンド始球式」で登場するPL学園OBの桑田真澄氏(50)=スポーツ報知評論家=に東北勢初制覇を宣言すると誓った。

 昼前に選手宿舎で取材に応じた吉田は、早くも心を躍らせていた。日大三との準決勝は、今大会チーム初の第1試合。レジェンド始球式を務めるのは、PL学園OBの桑田さんだ。「キャプテン(佐々木大夢外野手、3年)がじゃんけんに強くて、いつも後攻を取ってくれる。桑田さんは優勝している。自分も『絶対、優勝します』って言いたい」。東北勢初V宣言後に、試合に入ることを誓った。

 因縁の相手から“V腕パワー”を授かる。チームが初出場した1984年夏の準決勝。1点リードの8回1死から、桑田さんに逆転2ランを浴び完投を許した。その歴史を知る右腕は「(先輩たちに)並ぶだけではダメ。それは強く思っている」。鹿児島実との1回戦を視察した楽天・長島スカウト部長からは「センス、完成度の高さを例えるなら桑田かな」と高評価された“縁”もある。

 ナインも後押しする。主将の佐々木夢は「絶対に後攻でいきます。じゃんけん勝ちます」と宣言した。秋田大会から全9試合で、8試合が後攻。150キロ右腕の熱投から試合の主導権を握り、終盤での粘り強さを発揮してきた。

 主将は「いつも同じ形の方が、いいテンポでできる。吉田も桑田さんを近くで見たいと言っていましたねと明かし、同部屋で女房役の菊地亮太(3年)も「『桑田さんと握手したい』って言っていた。自分も桑田さんのボールを捕りたいです」と熱望した。

 この日は全体練習をせず、ジョギングなどで軽めの調整。左股関節痛を抱えながら準々決勝も完投した右腕は「疲れはない。投げろと言われれば、きょうも投げられる状態」。決勝進出を決めれば、県勢では1915年の第1回大会(秋田中)以来103年ぶりだが、右腕は頂点しか見ていない。「東北の夢でもあるし、秋田県にとっても、自分たちの夢でもある。応援してくれた人のためにも、絶対かなえたい。東北初の優勝旗は、絶対に自分たちが取りたい」。みちのくのドクターKが、新たな歴史を切り開こうとしている。(青柳 明)

 【VTR】金足農が初出場だった1984年夏。エースの水沢博文投手を擁しベスト4に進出。準決勝のPL学園戦、7回まで2―1とリード。しかし、8回1死で清原を歩かせた直後、桑田に左翼席に逆転2ランを浴び敗れた。なお、PL学園は決勝で取手二に4―8で敗れている。

 ★桑田真澄さん「34年前の金足農戦は劣勢で苦しい展開でしたが、最後まであきらめず戦ったことを懐かしく思い出します。始球式では両チームの選手にエールを送る1球を投げたいと思います」

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