大阪桐蔭・根尾「投げられる準備はできている」

スポーツ報知
7回1死、大阪桐蔭・根尾は中前安打を放った

◆第100回全国高校野球選手権記念大会第15日 ▽準決勝 大阪桐蔭5―2済美(20日・甲子園)

 大阪桐蔭(北大阪)が、史上初となる2度目の春夏連覇に王手をかけた。先発したエース右腕・柿木蓮(3年)が7安打10奪三振で2失点(自責1)完投勝ち。優勝した14年以来の決勝進出を決めた。今秋ドラフト1位候補の根尾昂遊撃手と藤原恭大中堅手(ともに3年)は、春夏通算7戦全勝の甲子園決勝で金足農の吉田を打ち崩すことを誓った。日大三は、吉田を攻略できずに惜敗。優勝した11年以来の決勝進出はならなかった。

 レーザービームが済美の勢いを止めた。2回に1点を先取され、なおも2死一、二塁。大阪桐蔭・藤原は政吉完哉の中前安打を処理し、本塁へダイレクト送球。二塁走者を刺し、2点目を阻止した。「飛んできた瞬間、『ラッキー』と思った。強みの肩を見せられた」。豊中第五中時代のドッジボール大会で「光のように速い球を投げるので、藤原君がボールを持つと、相手チームの子たちが恐怖で悲鳴をあげていた」という証言があるほどの強肩。打撃は3打数1安打だったが、衝撃スローでチームを救った。

 2―2の5回に石川瑞貴の2点適時打などで3点を奪い、逃げ切った。直前に四球を選んで決勝打につなげた根尾は、2安打で甲子園での連続試合安打を14に伸ばした。「今日は一番苦しかった」と、4年ぶりの決勝進出に胸をなで下ろした。

 大一番で激突するのは、快進撃を支える金足農の吉田だ。公立校には春夏通じて13勝1敗、決勝は同7戦全勝とはいえ、ファイナルでは過去最大級の好投手。「力を入れるところは入れる、投球術を持った素晴らしい投手。大黒柱に正面からぶつかっていきたい」と根尾は気合を入れ、藤原は「(今大会で)一番いい投手」と一目置く。西谷浩一監督(48)は「近年見た中ではすごい投手。高校生では一級品」と警戒した。

 甲子園の登板試合で7戦全勝の根尾は、昨春のセンバツ、今春のセンバツに続く3度目の胴上げ投手になれば、中京商(現中京大中京)の吉田正男(31~33年夏)、県岐阜商の松井栄造(33年春、35年春、36年夏)に次ぐ3人目。戦後では初の快挙になる。「最後、(マウンドに)立てたらいいな。投げられる準備はできている」と、胸をたたいた。

 判官びいきの声援で、アウェーのような雰囲気で戦うことも予想される。歴代最多7度目の優勝に王手を懸けた西谷監督は「今大会もそれに苦しめられている。それにも勝たないといけない」と覚悟。「いよいよ、このときが来た。必ず日本一になります!」と宣言した。

 ちょうど1年前の8月20日に、現チームは始動した。1年間の歩みについて、藤原は「アウェーの中でやることを想定してやってきた。逆にありがたい」と語り、“ヒール”になることを恐れていない。スター軍団は“見えない敵”にも勝つ。その先に、史上最強の称号が待っている。(伊井 亮一)

 柿木が7安打2失点10奪三振で完投勝利

 5試合連続登板のエースが、作新学院との1回戦以来の完投勝ちで、チームを決勝へと導いた。気合の155球に「春夏連覇を目標にしてやってきて、やっと権利を得た」。4回まで94球と待球作戦に苦しんだが、6回に西谷監督から「へばっているのか?」と鼓舞され、ブルペンでほかの投手が準備しているのを見て、闘争心に火がついた。金足農との決勝へ「最高の相手。全力で楽しんでやりたい。もちろん投げられる」と意気込んだ。

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