金足農、県勢103年ぶり準優勝 県ぐるみの強化策実った

スポーツ報知
今大会で話題を呼んだエース吉田輝星(左から3人目)の「シャキーン」ポーズをみんなで決める準優勝の金足農ナイン

◆第100回全国高校野球選手権記念大会最終日 ▽決勝 大阪桐蔭13―2金足農(21日・甲子園)

 金足農の150キロ右腕・吉田輝星(こうせい、3年)は、2本塁打を含む5回を12安打12失点(自責11)。今夏初めて試合途中でマウンドを降り、東北勢初優勝を逃した。それでも歴代6位の大会通算62奪三振をマーク。県立の農業高が成し遂げた秋田勢103年ぶりの準優勝に、スタンドからは大きな拍手が送られた。

 秋田大会から全11試合をレギュラー9人で戦い抜いた金足農ナインが、ついに力尽きた。ベンチ入りメンバー全員が秋田出身。雪でボールが使えない時期は長靴を履いて走り込んだ。OBでもある中泉一豊監督(45)は「選手一人一人はとても頑張ってくれた。自分たちの野球は十分できていたと思う」。目を真っ赤にしながらも、雑草軍団をたたえた。

 強打が主流となりつつある高校球界の中で、昔ながらの「バント野球」を徹底した。「ウチはバントを決めて、次の打者に託すのが基本。スクイズは確実に1点を取れる」と指揮官。9人野球は、ベンチの1、2年生との実力差が大きすぎるための苦肉の策。絶対エースの吉田を中心に、1点を守り抜く野球を貫き通した。

 快進撃の裏には、県ぐるみの強化策もあった。秋田勢は2010年まで13年連続で夏の甲子園で初戦敗退と低迷し、11年から「高校野球強化プロジェクト」を発足。甲子園4強進出を目標に掲げ、中京大中京を率いて09年夏の甲子園を制した大藤敏行氏(56)らをアドバイザーとして招へいした。

 科学的な投球動作解析などを行い、投手には球速や回転数などを分析して強化のアドバイスを伝えた。吉田も直球を生かすための変化球の習得を助言され、ツーシーム、チェンジアップなどを新たにマスター。投球の幅を広げ、今夏のブレークにつなげた。

 初年度の11年夏に能代商が3回戦に進出すると、15年夏には秋田商が8強入り。そして、今回が103年ぶりの準優勝。「いろいろとアドバイスをもらってます」と中泉監督。悲願の初Vは、着実に近づいている。

野球

×