【第100回大会総括】まだまだ魅力「昭和の高校野球」

スポーツ報知
試合後、マウンドの土を集める大阪桐蔭・柿木(左)と金足農・吉田(カメラ・石田 順平)

 記念すべき第100回を数えた今大会。熱中症対策として、試合途中に水分補給や休憩するための時間が設けられたほか、今春のセンバツから導入されたタイブレーク制が初適用されるなど、新時代に向けて甲子園のあり方も変わろうとしている。そんな記念大会で、最も注目を集めたのは、惜しくも準優勝に終わった金足農のエース・吉田だった。

 記録的な酷暑の影響もあり、世間では複数投手制を推奨する声や、球数制限を求める声が相次いでいる。それでも、秋田からやってきた雑草軍団は、レギュラー9人で戦い抜き、バントで泥臭く1点をもぎ取る戦いを展開。吉田も決勝の6回にライトに回るまで、1人でマウンドを守り続けた。

 そのほか、済美・山口直や下関国際・鶴田ら、地方大会からほぼ1人で投げ続けてチームを上位に進出させた大エースの存在が目立った。一方で、投打に多くのタレントがそろうスター軍団の大阪桐蔭はもとより、日大三、近江なども複数投手をたくみに使い分けて勝ち上がった。4強が、大エース型の金足農と済美、複数投手型の大阪桐蔭、日大三に分かれたのも、高校野球が過渡期にある証拠だと言えるだろう。

 ただ、この日の4万5000人の大観衆は、根尾でも藤原でもなく、吉田に最も大きな声援を送っていた。選手を故障させるような酷使は避けるべきだが、“昭和の高校野球”もまた、大きな魅力を持っているのだと改めて感じた。(アマ野球担当キャップ・片岡 泰彦)

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