横浜・及川雅貴、宿敵・東海大相模から13K スライダーで翻弄「勝てたのは自信になる」
◆秋季高校野球神奈川県大会 ▽準々決勝 横浜5―2東海大相模(23日・サーティーフォー保土ケ谷)
来春センバツの重要な参考資料になる高校野球秋季大会が各地で熱戦を繰り広げ、来秋ドラフト1位候補の剛腕が力投した。神奈川では、横浜と東海大相模の名門対決が準々決勝で実現。横浜の152キロ左腕・及川(およかわ)雅貴(2年)が13三振を奪う力投で2失点完投勝ちした。
最後の打者を遊飛に打ち取った及川は、充実の表情でマウンドを降りた。「何としても倒さないといけない相手。勝てたのは自信になる。真っすぐが良くなかったけど、スライダーでカウントも空振りも取れて良かった」。県内最大のライバルともいえる強打の東海大相模打線を相手に、5者連続を含む13個の奪三振ショー。5安打2失点完投で、チームを4強入りへ導いた。
2つの球種だけで勝負した。153球のうち、約7割が130キロ台のスライダー。東海大相模・門馬敬治監督(48)も「7割から8割はスライダー。半分ぐらいはボール球だと思うけど、ストライクゾーンの中での低めで、一番いいところに来ていた。ウチには、そのボールを見極める目と、経験が足りなかった」と唇をかんだ。13奪三振のうち、12個が空振り三振。6四球を与えても大崩れすることなく、この日の最速147キロの直球とのコンビネーションで快投を演じた。
チームは夏の甲子園3回戦の金足農戦で、2点リードの8回に逆転3ランを浴びて敗れた。及川の登板機会はなかったが「1球に泣いたので、1球1球を大事にいこうと話していた」と肝に銘じた。昨秋の県大会準々決勝・鎌倉学園戦では先発を任されたが、まさかの8回コールド負けでセンバツ行きを逃した。過去の悔しさをプラスの力に変え、縦じまの難敵を黙らせた。
来月6日の準決勝は、ともに今夏の甲子園に出場した慶応と対戦する。「今年のセンバツは自分のせいで逃した。(勝利は)切り替えて、次へやっていきたい」。エースの自覚を胸に、思い切って左腕を振り抜く。(青柳 明)
★及川 雅貴(およかわ まさき)
▽生まれとサイズ 2001年4月18日、千葉・匝瑳(そうさ)市生まれ。17歳。183センチ、74キロ。左投左打。
▽球歴 小3から須賀スポーツ少年団で野球を始め、小6時に千葉ロッテマリーンズジュニア選出。八日市場二中では匝瑳シニアに所属し、U―15日本代表に選出。U―15W杯で、最優秀防御率を受賞。横浜では1年春からベンチ入り。同年夏には開幕投手を任された。今秋から背番号1。
▽プロ斬り 入学前にはテレビ朝日系「ビートたけしのスポーツ大将」で、西武の秋山、森や中日・平田と対戦。平田を直球で空振り三振に仕留め「普通にプロでいるピッチャー」とうならせた。
▽好きな言葉 平常心、常に笑顔。
▽家族 両親と姉。