札幌大谷、センバツ当確一番乗り!創部10年目で初V

スポーツ報知
最後の打者を三振に打ち取り、雄たけびを上げる札幌大谷・太田(カメラ・宮崎 亮太)

◆第71回秋季北海道高校野球大会 ▽決勝 札幌大谷9―6札幌第一(8日・札幌円山球場)

 札幌大谷が札幌第一に9―6で逆転勝ち。創部10年目で初優勝を飾り、春夏通じて初の甲子園となる来春のセンバツ(3月23日開幕)出場を全国最速で“当確”させた。8回1死一、二塁、5番・佐藤颯馬三塁手(1年)が、右中間へ勝ち越しの2点適時二塁打を放った。新チーム発足時に二塁手だった森優太(2年)が、選手の道を諦めてマネジャーに転向。“森のために―”と結束したナインが頂点に立った。同校は北海道地区代表として明治神宮大会(11月9日開幕)に出場する。

 秋晴れの円山球場に、札幌大谷ナインの歓喜がこだました。2009年4月に創部して10年目。積み上げた公式戦75勝目で、ようやく追い求めてきた悲願がかなった。秋は初となる頂点に立った飯田柊哉(しゅうや)主将は「この優勝は応援の支えがあってこそ。感謝したいです」。共に戦った仲間の笑顔が並ぶ一塁側スタンドに顔を向けた。

 苦しい時を、支え合って乗り越えた。先発のエース右腕・西原健太が3回途中3失点。救援した横手投げ右腕・太田流星も失策絡みで失点し、4点を背負った。だが、飯田は「仲間が苦しい時こそ、(自分たちが)助けられるか」。3回に先頭打者の2番・釜萢(かまやち)大司からの6連打で同点に追いつくと、1点を追う8回1死二塁には、3番・石鳥亮の左越え適時二塁打で再び同点に。なおも1死一、二塁。佐藤の右中間への2点適時二塁打で勝ち越した。

 現2年生は中高一貫の札幌大谷中から過去最多の25人が入学。所属した札幌大谷シニアでは全国8強入りし、高1の春から西原ら5人が先発出場してきた。だが、この夏、新チーム発足時はベンチ外だった部員と何度も衝突。石鳥は「個性が強くて、まとまりがなかった」と振り返る。

 ただ、1人の決断がチームを変えた。札幌大谷シニアで二塁のレギュラーだった森が、今夏マネジャーに転向した。石鳥らは反対したが、森は「この代にマネジャーがいない。甲子園へ行くために自分は何ができるか考えた時、(自分が)チームを支えることだった」。決意は固かった。

 練習では森がノックを打ち、夜遅くまで自主練習にも付き合った。「少しでも緊張が和らぐように」と今大会開幕前夜には、自らパソコンで編集したメッセージ動画を全員に送った。選手の道を諦めてまで裏方に徹してくれた仲間の決意に、いつしか『森を日本一のマネジャーにする』がナインの合言葉となり、自己犠牲の精神が生まれた。

 記録員としてベンチ入りした森は優勝を見届け、「悩んだが、マネジャーをやって良かった」と目を潤ませた。石鳥も「森がいたからここまで来られた」と感謝した。全道Vは通過点。日本一になった時、森へ本当の恩返しになる。(清藤 駿太)

 ◆札幌大谷(札幌市) 1906年4月に私立北海女学校として創立。48年、札幌大谷に改称。2009年に男女共学となり、同年に野球部も創部。道大会へは春2、夏4、秋3の合計9度出場。生徒数は807人(女子496人)。部員数は56人(うちマネジャー1人)。主な卒業生に里田まい(タレント)や藤本那菜(アイスホッケー)がいる。

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