札幌大谷・西原、好投で仲間に恩返し…全道大会で不調、悔し涙から再起

スポーツ報知
ブルペンで投球練習を行う札幌大谷・西原

 第49回明治神宮野球大会の開会式が8日、明治神宮で行われた。きょう9日の1回戦で龍谷大平安(近畿地区)と対戦する札幌大谷はこの日、神奈川県内で最終調整。先発が予想されるエース右腕・西原健太(2年)が、仲間へ恩返しの好投を誓った。全道大会準決勝、決勝はともに先発も序盤に4失点で途中降板。仲間に連れてきてもらった全国舞台で、今度はエースがチームを救う。大学の部に出場する函館大は9日の1回戦で、環太平洋大(中国四国三連盟)と対戦する。

 乾いた捕球音がブルペンに響き渡る。札幌大谷のエース・西原の表情は、気迫に満ちあふれていた。指先の感触を確かめながら投げ込んだ26球。最後はこん身の真っすぐで最終調整を終えた。「これまで、チームに迷惑を掛けてばっかりだった。今度は自分がチームを救う投球がしたい」と口元を引き締めた。

 今秋の全道大会ではエースとしてふがいなかった。準決勝の駒大苫小牧戦、決勝の札幌第一戦で先発したが、ともに3回途中までに4失点で降板。笑顔の仲間の横で西原は号泣した。「チームメートが自分の失点を返してくれた。悔しい反面、感動した」。仲間が導いてくれた舞台だからこそ、雪辱を誓ってきた。

 手応えもつかんだ。全道大会後は前に突っ込んでいたフォームを修正。右股関節にタメを作れるようになり制球は安定してきた。3日の創価高との練習試合は先発し6回途中3失点。6回に味方失策絡みで3点を許すも、5回までわずか1安打に封じた。「今は直球で空振りやファウルを奪えている」とうなずいた。

 神宮は右腕にとっての原点でもある。札幌大谷シニアに所属した中学3年夏。西原は神宮球場で行われた全国大会に出場した。1回戦で敗れるも、当時の五十嵐友次郎コーチ(46)に泣きながら「もう一度、ここに来い」と励まされた。西原は「その言葉を忘れず、高校で頑張ってきた」。中学最後に誓った場所に高校最後に舞い戻ってきた。

 「神宮でもう一度、投げられるチャンスを仲間にもらった。エースとして最後まで、マウンドを守り続けたい」と西原。悔し涙から1か月。原点の球場で、成長した姿を見せる時が来た。(清藤 駿太)

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