札幌大谷“全国初勝利”龍谷大平安を撃破

スポーツ報知
初回、笑顔で3点目のホームを踏む札幌大谷・西原(中)

◆明治神宮野球大会 第1日 ▽高校の部1回戦 札幌大谷6―5龍谷大平安(9日、神宮)

 西の“横綱”を食った―。高校の部で初出場の札幌大谷(北海道)は、1回戦で甲子園通算101勝を誇る名門・龍谷大平安(近畿・京都)に6―5で競り勝ち、野球部創部10年目で初の“全国1勝”を挙げた。初回に相手失策絡みで一挙5得点を奪うと、先発したエース・西原健太、8回から2番手登板の太田流星(ともに2年)の、両右腕の継投で逃げ切った。大学の部では、函館大(北海道2連盟)が1回戦で環太平洋大(中国・四国3連盟)に1―2で敗れた。

 夢ではない―。1点リードの9回2死二、三塁。マウンドの札幌大谷・太田が空振り三振を奪うと、背番号17を中心に歓喜の輪が広がった。神宮大会初出場のチームが、甲子園春夏通算101勝を誇る龍谷大平安から奪った大金星。野球部創部10年目で初の全国1勝を挙げ、船尾隆広監督(47)は「信じられない。間違いなく、選手の自信になる」と目を丸くした。

 相手のミスに乗じて一気にたたみかけた。初回に相手失策絡みで1死満塁の好機を作ると、5番・石鳥亮の投ゴロが二塁への悪送球を誘い、2点を先制。さらに、連打と犠飛を絡めて一挙5得点を奪った。先発したエース・西原は7回6安打5失点(自責点1)。6回に失策絡みで4点を失うも逆転は許さず、最後は太田が2回無失点で逃げ切った。

 2014年12月に就任した船尾監督が重んじてきたのが自主性。毎日30分の自主練習を設けるなど、やらされた練習ではなく、自らで課題に取り組むよう自立を促してきた。練習でも選手を萎縮させるような叱責はしない。「怒っても今の子たちは腑(ふ)に落ちないから」。恐怖心を植え付けるような指導は撤廃し、選手の個性を伸ばしてきた。

 この日は5個の失策を記録したが、指揮官は失敗した選手に笑顔で声を掛け続けた。その姿勢があったからこそ、強豪相手にも、高校初の全国舞台にも臆せず、伸び伸びといつも通りの野球を貫くことができた。西原は言う。「チームの目標はずっと優勝。先を見ず、目の前の試合に集中したい」。札幌大谷の“伸び伸び野球”で、全国の頂点へと駆け上がる。(清藤 駿太)

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