札幌大谷、初出場で初決勝 太田流星8回までノーヒッター

2018年11月13日5時55分  スポーツ報知
  • 8回までノーヒットの好投を見せた札幌大谷のサイド右腕・太田(カメラ・泉 貫太)

 ◆明治新宮野球大会第4日 ▽高校の部・準決勝 札幌大谷5―2筑陽学園(12日、神宮)

 神宮のマウンドで、“流星”が輝きを放った。初出場の札幌大谷が筑陽学園(九州・福岡)を5―2で下し、北海道勢ではヤンキース・田中将大投手(30)を擁し初優勝した駒大苫小牧以来、13年ぶりの決勝進出。先発した背番号17のサイド右腕・太田流星(2年)が、8回まで無安打無得点の快投をみせた。ノーヒットノーランまであと3人と迫った9回に、3連打を浴びて3安打2失点完投。1974年の第5回大会の日大山形・金子隆以来、44年ぶりの大記録は逃したが、チームを勝利へと導いた。きょう13日の決勝(10時)で星稜(北信越・石川)と対戦する。

 偉業達成まであと3人―。9回、札幌大谷・太田のカーブを先頭打者が右前にはじき返すと、44年ぶりのノーヒットノーランを期待したスタンドから大きなため息が漏れた。この一球を契機にこの回3安打2失点。背番号17は「みんなに『世の中はそんな甘くない』と言われた」と苦笑いした。

 2種類の“魔球”で手玉に取った。太田自身も「いつ落ちるか分からない」と言うシュートは手元で少し低めに落ち、シンカーは独特の軌道を描く。初体験のボールに筑陽学園の4番・江原佑哉二塁手(2年)も「手元で曲がり打ちづらい」とお手上げ。8回まで許した走者は1、3、4、8回の四死球のみで16個の内野ゴロ、9個のフライアウトで完璧に打たせて取った。

 一度は諦めかけた投手の道だった。小学6年まで上手投げで活躍し、札幌大谷中に進学。だが同学年には現エースの西原健太ら投手だけで20人近くがそろい、当時の監督に外野手転向を勧められた。それでも太田は中2の冬に、「中学最後に好きなポジションをやりたい」と監督に直訴。特徴を出すため、上手から横手投げに変え、頭角を現した。

 横手投げに転向したことで魔球が生まれた。直球にシュート回転がかかり、それが次第に落ちるようになりシンカーへと進化した。太田自身も予想できない球筋を受ける捕手も大変だ。コンビを組めるのは、高校1年から正捕手だった飯田柊哉だけ。「(他の捕手は)ポロポロ落とすんです」と、太田は笑う。

 常にマイペースで、独自の野球哲学を貫く。家では自主練習をせずに必ず夜8時に就寝。10時間睡眠を大切にしており、そのぶん全体練習に全力を注いできた。父・信一さん(50)が「素振りくらいしたら?」と言ってもお構いなし。周りに流されない信念があるからこそ、今大会3度目で初の先発マウンドでも、持ち味を十分に発揮できた。

 名前の「流星」は、信一さんが「輝いてほしい」と言う思いを込め命名した。この日、神宮球場で一際輝きを放った太田は「先のことは考えず、目の前の打者に集中して戦いたい」と言い切った。初出場初優勝へ、星稜を撃破して“一番星”をつかみ取る。(清藤 駿太)

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