“ゴジラを超えた男”星稜・南保良太郎、専大からプロ目指す
第91回センバツ高校野球(3月23日から12日間、甲子園)で全国制覇を狙う星稜で、昨夏まで「4番・サード」として活躍した南保良太郎(3年)が、今春から専修大に進学する。昨夏の石川県大会で決勝の3本塁打を含む5本塁打を放ち、星稜OBの松井秀喜氏(44)の大会個人通算本塁打記録を塗り替えたスラッガーが、「大学からプロを目指す」と新天地での飛躍を誓った。
“ゴジラを超えた男”南保が、屈託のない笑顔で将来の夢を語った。「大学ではプロを目指して頑張りたい。自分、お金持ちになりたいんですよ」。専大に進学し、武器を磨く。「高校でやってきたフルスイングをぶらさずに貫いて、大学で飛び抜けるぐらいのバッターになりたい」と言う。
大学では、昨夏までライバルだった日本航空石川・大橋修人、金沢・向井蓮の両投手がチームメートとなる。林和成監督(43)は「彼の売りはバッティング。大学は高校より周囲のレベルも上がるが、フルスイングを忘れず、長所を伸ばして頑張って欲しい」と教え子の成長を期待した。
南保は寮生活に備え、マットレスを購入した。実際に数々の専門店で寝転んで選んだ製品が、たまたま松井氏がCM出演しているメーカーのものだった。“松井マットレス”で良質な睡眠をとり、練習に打ち込む。「親元を離れるのは初めてなので不安もある。4年間お酒も飲まず…は無理だと思うが、誘惑に負けず、野球を最優先して頑張りたい」。
昨夏の石川県大会5試合では5本のアーチを描き、松井氏が1990~92年の3年間で記録した大会通算4本塁打を更新した。「野球を辞めた時にまだ記録が残っていれば喜びたい」と話し、3年間の一番の思い出は「夏にあれだけ打てたこともそうだが、冬場に手が血だらけになるまでバットを振ったこと」だと打ち明けた。金沢学院との決勝(22〇0)では、5番・竹谷理央(3年)と3度のアベック弾を含む計7本塁打を記録した。「チームのことを必死に考えて、自分と竹谷が打たないと勝てないと思っていたら、運良くああいう記録につながった」と振り返った。
昨年センバツまでの高校通算本塁打はわずか8本だったが、冬場の練習で急成長。春、夏に本塁打を量産し、25本まで伸ばした。「今のチームは力があるし、意識も高い。先のことは考えず、冬は1日1日やり切ったと思えるくらい練習して100%の自信を持って戦って欲しい」。一冬越えて覚醒した南保たち3年生の姿は優勝候補としてセンバツに挑む星稜ナインの励みにもなっている。(勝田 成紀)
◆南保 良太郎(なんぼ・りょうたろう)
★生まれ 2000年11月21日、石川・津幡町生まれ。18歳。
★野球歴 小2で中条ブルーインパルスで野球を始める。星稜中では9番打者で、3年時に県大会優勝。星稜高では2年春からベンチ入り。17年春、夏に甲子園出場。
★目標の選手 オリックス・吉田正尚外野手(25)。昨夏の甲子園期間中に、京セラドームでオリックス戦を観戦した。
★特技 星稜高学園祭のラップ選手権で、2年連続準優勝に輝く。ただし2度とも出場は3組だけ。「1回戦は引き分けでジャンケンに勝って、決勝では負けたので、1勝もしてないんです…」
★家族構成 両親と姉
★サイズ 175センチ、75キロ
★投打 右投左打