難病の元球児、藤枝東・片山「小腸クローン病」と闘い浜松医科大医学部合格「1人でも多くの人を助けたい」

スポーツ報知
浜松医大に合格した藤枝東・片山

 藤枝東高野球部の片山翼(3年)がこのほど、浜松医科大の医学部医学科の入学受験に合格した。高1春に、厚生労働省の難病指定を受けている小腸クローン病を患いながら3年間野球に打ち込んだ元球児が、未来のドクターを目指す。

 発症したのは受験勉強に打ち込んでいた中3時だった。高校入学直後、1週間の検査入院で病名が発覚した。「なんで、と思った。一生つきあわないといけない病気、と言われてショックだった」。2週間に1回、自分で腹部に注射を打ち、2か月に1回は血液検査を受けている。食事制限も多く「脂質や乳製品を食べないようにしている」という。

 仲間からの励ましで「できる範囲で続けよう」と続けた野球。持ち前の負けん気で、チームにはなくてはならない存在になった。2年の11月には主将に就任。昨夏の選手権静岡大会は初戦で敗れたが、8番・左翼で先発出場した。「疲れが出ると症状が出やすく、練習を休んだこともあったけどみんなの助けで続けられた」と、チームメートに感謝した。大学でも準硬式で野球を続ける。

 クローン病の患者は年々、増えているという。「僕と同じように病気にかかっている球児がいるかもしれない。それでも、好きなら諦めずに続けて欲しいし、医者になって1人でも多くの人を助けたい」。患者に寄り添うドクターを志し、将来は消化器内科に進む予定だ。(塩沢 武士)

 ◆小腸クローン病 小腸の腸管に炎症や潰瘍を引き起こし、下痢、腹痛(かいよう)などの症状を引き起こす病気。原因は不明だが、遺伝的な要因や食事や腸内細菌などの環境的な要因に免疫機能の過剰・異常が生じ、病気が発症、持続すると考えられている。環境因子では脂質や糖質の高摂取量との関連が指摘されている。患者数は年々増加しており、14年には約4万人以上の患者がいると推定されている。日本では男性患者の割合が高く、発症年齢は男性で20~24歳、女性は15~19歳が最も多い。厚生労働省により難病に指定されている。

野球

×