【センバツ】阪神・掛布SEA、高校野球の甲子園は「母親」…母校習志野の勝利見届けた

スポーツ報知
「憧球」と書かれたTシャツを手に、母校・習志野に熱視線を送る掛布雅之氏

◆第91回センバツ高校野球大会第2日 1回戦 習志野8―2日章学園(24日・甲子園)

 10年ぶり出場の習志野(千葉)が、初回7点の猛攻で日章学園(宮崎)を下し初戦を突破。OBの阪神・掛布雅之オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー(SEA、63)が特別観戦記を寄せた。母校の勝利を喜ぶとともに、投手の球数制限が論議されている高校野球界に金属バットの“改悪”を提言した。

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 甲子園は違う“表情”を持っていた。

 阪神の本拠地としてプレーした甲子園は「戦いの場」だった。私はその厳しさに育てられた。だが、高校野球の舞台の甲子園は「母親」。子どもたちを温かく包み込んでくれているようだった。野球にはエラーも三振もある。高校球児は甲子園で成長すると言われるが、失敗も包み込む甲子園の優しさが子どもたちを育てるのだろう。

 日章学園は守備のミスが続出したが、最後まで下を向くことなく戦った。野球ができる幸せ―。それを感じさせるのが甲子園の母性。球児はミスをしても、心の中で「笑顔」を忘れず大好きな野球を楽しんでほしい。

 母校のセンバツの試合を観戦するのは初めて。私は校歌を歌うことができなかった【注】ので、スタンドで聴かせてもらう校歌は、懐かしく、また新鮮でもあった。応援も、ブラスバンドを中心に迫力があった。私の時代とは違って洗練されていて、素晴らしかった。

 高校野球で投手の球数制限が論議されているが、その前に木製バットに戻すべきと考える。資源、資金の問題で難しければ、「飛ばない金属バット」はどうか。反発力を下げて打球スピードを落とし、芯の幅を木製バットのように狭めにするのだ。

 根っこや先っぽでもヒットになる“金属ヒット”が少なくなる分、球数が減る。さらに、かわさずにストライクゾーンで勝負できる分も、球数が減る。おそらく、2割以上、球数は減少するだろう。打撃技術でも、上半身ばかりに頼る悪いスイングが改善される。高野連、飛ばすことを競ってきた用具メーカーは、「飛ばないバット」を検討してもらいたい。

 【注】1972年夏、2年生で4番・遊撃手で出場。1回戦(対東洋大姫路)でタイムリーを放ったが、3―5で敗れた。

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