【センバツ】札幌大谷、秋春連覇へまず1勝 太田1失点完投「初戦は絶対に勝ちたかった」

スポーツ報知
米子東との初戦で9回1失点の力投を披露した札幌大谷・太田(カメラ・渡辺 了文)

◆第91回センバツ高校野球大会第2日 1回戦 札幌大谷4―1米子東(24日・甲子園)

 昨秋の明治神宮大会覇者・札幌大谷が4―1で米子東(鳥取)を下し、創部10年目で初出場初勝利を挙げた。初回に北本壮一朗遊撃手(3年)が、センバツでは道勢20号目となる左越えの先頭打者本塁打を放ち先制。投げては背番号17のサイド右腕・太田流星(3年)が粘り強い投球を披露し、4安打1失点完投した。史上4校目の“秋春連覇”に向け力強く初陣を突破したナインは大会7日目(29日)の第1試合で、この日好投手・及川雅貴(3年)を擁する横浜(神奈川)を下した明豊(大分)と戦う。

 浜風に乗って、凱歌が聖地に響き渡った。創部10年目の札幌大谷が、初出場初勝利。笑顔で校歌を歌うナインの視線の先に、野球部の歴史の1ページを刻む『4―1』のスコアが刻まれていた。就任4年目の船尾隆広監督(47)は「本校の野球部にとって、歴史的な日になりました」と、奮闘した選手を横目に目を赤くした。

 鋭い金属音とともに“夢の続き”が幕を開けた。初回、先頭の北本が5球目、真ん中に入った124キロの直球を左翼席にたたきこんだ。「1打席目に全てを懸けている。勢いづけたくて必死にバットを振った」。センバツでの道勢20号目は先制の先頭打者弾。記念すべき甲子園初打席で、仲間の緊張を解きほぐす値千金の一発だった。

 待望の先制点で勢いに乗ると、先発の太田も負けじと腕を振った。4安打1失点で完投。4回以降は6四死球も安打は許さず、「初戦は絶対に勝ちたかった。ボールを低めに集めることができた」。3回に一度は追いつかれたが、その裏に4番・石鳥亮中堅手(3年)の中越え適時三塁打など、3安打を絡め3得点で突き放した。

 昨年11月の明治神宮大会で初出場初優勝したことで、周囲の環境が激変した。船尾監督が「ほぼ毎日取材を受けてきた」と話すなど、世間の注目が集中。JRや地下鉄に校名の入ったバッグを持って通学すると道行く人から声を掛けられるようになり、指揮官は「選手の心境の変化を一番恐れていた」と明かした。

 だが、選手は揺るがなかった。神宮大会を制した夜、飯田柊哉主将(3年)はナインを前に「ここで終わりじゃないだろう」とゲキをとばした。交通機関を利用する際には、一般客に迷惑を掛けないよう車両ごとに分かれて乗車。野球バッグは邪魔にならないように置き方ひとつ変えるなど、私生活から厳しいルールを設け浮ついた空気を排除してきた。

 「神宮で勝つ喜びをたくさん感じた。もっと勝ちたい。全ては甲子園で勝つために、私生活からやってきた」と北本は言う。今大会優勝候補の星稜を撃破し神宮大会を制したあの日から4か月。その夜に約束した夢の続きが、華々しくスタートを切った。(清藤 駿太)

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